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経口血糖降下薬による糖尿病治療

2011.06.19 (Sun)
薬物療法は、十分な食事・運動療法を行っても血糖降下が不十分な症例において考慮される。病態に応じて以下の薬剤を用いる。薬物療法開始時には必ず低血糖のリスクを説明し、対処法を指導する。また、急激な血糖降下はときに網膜症を増悪させることがあり、注意が必要である。

1) 食後高血糖を示す症例
2型糖尿病の初期では、空腹時血糖やHbA1cが軽度の異常でも、随時血糖や糖負荷試験2時間値が高値で糖尿病と診断される症例が多いが、この段階でも放置すると心血管疾患の発症率が高いため、治療は積極的に行うべきである。αグルコシダーゼ阻害薬(ベイスン、グルコバイ)、速効型インスリン分泌促進薬(ファスティック、スターシス、グルファスト)を用いる。

αグルコシダーゼ阻害薬の使用時には肝機能異常および腸閉塞の出現に注意する。また、低血糖時にはブドウ糖を摂取するように指導する。なお、αグルコシダーゼ阻害薬は他の経口血糖降下薬との併用ができるが、速効型インスリン分泌促進薬はSU(スルホニルウレア)剤との併用はできない。

2) 肥満や空腹時の高血糖、高インスリン血症を示す例
肥満を伴う2型糖尿病には、インスリン分泌能は良好で血中インスリン濃度はむしろ高く、インスリン抵抗性を示すものが多くみられる。インスリン抵抗性の指標には、HOMA-R(インスリン抵抗性指数)=空腹時血糖(mg/dL)×空腹時血清インスリン(μU/mL)/405がよく用いられる(ただし血糖≦140mg/dLの場合)。

HOMA-R≧2 では、インスリン抵抗性の存在が疑われる。インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジン誘導体 アクトス)、あるいはビグアナイド剤(メルビン,グリコラン,ジベトスB)を用いる。

インスリン抵抗性改善薬は心不全の患者には禁忌であり、浮腫(特に女性)や肝機能異常の出現に注意する。また、体重増加をきたしやすいので、食事・運動療法の徹底が特に重要である。ビグアナイド剤は乳酸アシドーシス発症リスクのため腎機能障害、アルコール多飲者、心不全、高齢者などで禁忌となっている。

3) インスリン分泌の低下が疑われる例
インスリンの基礎分泌が低下して、空腹時高血糖をきたしているものについては、インスリン分泌刺激薬であるスルホニルウレア(SU)剤を投与する。いずれも少量から始め漸増する。グリメピリド(アマリール)はインスリン分泌促進と抵抗性改善作用を併せもつため、低血糖を起こしにくく、膵β細胞の疲弊をきたしにくいというメリットがある。

食後高血糖を伴う症例では、αグルコシダーゼ阻害薬が可能であり、インスリン抵抗性の病態を併せ持っていると考えられる症例では、インスリン抵抗性改善薬やビグアナイド剤との併用も考慮される。高齢者や神経障害の進行例では無自覚性低血糖の頻度が高いことに留意する。

分類一般名商品名作用機序副作用
ビグアナイド薬メトホルミンメデット
メルビン
肝臓での糖新生抑制腎機能低下、胃腸障害
チアゾリジン薬ピオグリタゾンアクトス骨格筋・肝臓でのインスリン感受性改善浮腫、心不全には禁忌
DPP-4阻害薬シタグリプチングラクティブ
ジャヌビア
インスリン分泌促進とグルカゴン分泌抑制胃腸障害
ビルダグリプチンエクア
アログリプチンネシーナ
SU薬グリメピリドアマリールインスリン分泌促進遅延性の低血糖に注意
グリクラジドグリミクロン
グリベンクラミドオイグルコン
ダオニール
速効型インスリン分泌促進薬ナテグリニドスターシス
ファスティック
速効型のインスリン分泌作用低血糖
ミチグリニドグルファスト
αグルコシダーゼ阻害薬ボグルボースベイスン炭水化物の吸収遅延腹部膨満、放屁
ミグリトールセイブル
アカルボースグルコバイ
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甲状腺機能低下症について

2008.06.28 (Sat)
甲状腺機能低下症は、組織に甲状腺ホルモンが作用しないことにより起こる疾患ということができる。組織に甲状腺ホルモンが作用しない原因は、「血中遊離甲状腺ホルモン欠乏」および「組織の甲状腺ホルモン不応」のどちらかである。

甲状腺機能低下症は以下のように、I.甲状腺性(原発性)、II.視床下部性、下垂体性(二次性)、III.末梢性甲状腺機能低下症の3つに分類できる。
Ⅰ.甲状腺性(原発性) A.後天性 甲状腺破壊 慢性甲状腺炎(橋本病)
手術・放射線治療
亜急性甲状腺炎後(一過性)
シスチノーシス
甲状腺癌、新生物
正常機能の甲状腺が抑制 ヨード欠乏
ヨード過剰(6mg/day以上):基に橋本病などの甲状腺疾患
薬物(リチウムや、抗甲状腺薬、PASなど)
B.先天性 甲状腺の発生異常  
甲状腺ホルモン合成異常
胎生期の母胎の影響
Ⅱ.視床下部、下垂体性 A.視床下部性 視床下部腫瘍  
浸潤性病変(サルコイドーシス、histiocytosis X)
放射線照射
TRH単独欠損症、小人症に伴うTRH欠損症
B.下垂体 下垂体腫瘍  
下垂体の手術、放射線治療
特発性下垂体機能低下症
Sheehan症候群
TSH単独欠損症
Ⅲ.末梢性甲状腺機能低下症 甲状腺ホルモン不応症    
Refetoff症候群

疾患の原因となる局在の大まかな鑑別としては、以下のようになる。
  TSH基礎値 TRH負荷によるTSH
甲状腺原発(一次性) ↑↑↑
下垂体性(二次性)
視床下部性(三次性)

それぞれの概要としては、以下のように概説できる。

I.甲状腺性(原発性)甲状腺機能低下症
頻度としては自己免疫による慢性甲状腺炎が多い。慢性甲状腺炎には甲状腺腫のある慢性甲状腺炎(橋本病)と甲状腺を触れない萎縮性甲状腺炎とがある。

萎縮性甲状腺炎ではブロッキング抗体(TSH受容体抗体;TRAb)が陽性となる。このブロッキング抗体がTSHの作用をブロックし、甲状腺機能を抑制する。血中甲状腺ホルモンと下垂体TSH分泌との間には負のフィードバックがあり、甲状腺性甲状腺機能低下症では血中TSHが増加する。

II.視床下部性,下垂体性(二次性)甲状腺機能低下症
下垂体からのTSH合成、分泌の低下による。これには下垂体そのものの障害によるTSH分泌の低下と視床下部からのTRH(TSH放出ホルモン)の合成、分泌障害によるものとがある。後者の視床下部性のものを三次性という(稀である)。

III.甲状腺ホルモン不応症(全身型)
血中甲状腺ホルモンが正常か、高値であるのにTSHが上昇しており、甲状腺機能低下症の症状を示す。甲状腺ホルモン受容体の遺伝子異常である。
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