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排尿困難の鑑別診断

2010.01.18 (Mon)
排尿困難とは、膀胱にたまった尿の排出が困難なことをいう(ただし、膀胱炎や尿道炎などのために排尿痛が生じ尿が出渋ることは英語ではdysuriaといって区別することが多い)。

排尿困難では、尿の出にくい感じというのが典型的な症状である。これには、排尿の開始が遅れる、排尿が開始されてからも延々と時間がかかるという2つの意味が含まれる。

排尿困難をきたす疾患は、

原因病態疾患
膀胱の収縮力低下中枢性神経障害脳・脊髄疾患、二分脊椎
末梢神経障害下腹部の手術、糖尿病
尿道の通過障害前立腺疾患前立腺肥大症、前立腺癌
尿道狭窄
尿道括約筋の弛緩不全脳・脊髄疾患、二分脊椎

このように分けて考えることが出来る。

特に、高齢男性では、多くが前立腺疾患で、またこのうちの多くが前立腺肥大症である。既往歴に尿道の外傷、カテーテル留置などがあると、尿道狭窄の可能性も高まる。また、若齢者では、中枢神経障害、尿道狭窄などの可能性がないようならば、先天奇形による神経因性膀胱を考える。

全般的に、神経疾患や糖尿病性の、もしくは原因不明の神経因性膀胱も少なくない。

問診では、既往歴として何かないかを尋ねる。前立腺肥大症では、飲酒、かぜ薬の服用、寒冷刺激などを契機として急に症状が悪化して尿閉となることがよくある。尿道狭窄の原因には会陰部の打撲、淋菌性尿道炎、尿道カテーテルの留置といった既往歴が重要である。神経因性膀胱と関連しては、脳梗塞、脊髄の疾患、下腹部の手術、糖尿病などがポイントとなる。

【問題】98A40
65歳の男性。排尿困難のため来院した。直腸診で前立腺は鶏卵大に腫大し、左葉は石様硬で表面不整である。まず行うべき検査はどれか。
1) 前立腺特異抗原〈PSA〉
2) 静脈性腎孟造影
3) 骨シンチグラフィ
4) 尿道膀胱鏡検査
5) 経直腸超音波検査

a)1,2 b)1,5 c)2,3 d)3,4 e)4,5

【答え】
b)1,5

【解説】

・65歳男性(高齢男性)の排尿困難(→前立腺肥大症、前立腺癌)
・石様硬、表面不整(→前立腺癌)


前立腺の直腸診所見より、肥大症と癌との鑑別ができること、前立腺癌の診断方法が問われている。

○1)PSAは、前立腺癌と前立腺肥大症との鑑別に有用で、必須の検査である。

×2)静脈性腎盂造影は、前立腺癌の早期診断目的には用いない。

×3)骨シンチは、骨転移の有無と部位を検査するもので、癌の診断がついた後に行う。

×4)尿道膀胱鏡検査は、疼痛などの侵襲が大きく、早期癌の診断には用いられない。血尿のスクリーニング検査としては重要。

○5)経直腸的超音波断層像は、癌の診断に必須の検査である。癌病巣部は低エコーを示すことが多い。

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腎機能検査の分類
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腎機能検査の分類

2008.03.29 (Sat)
腎機能は、尿の生成・排泄および内分泌機能の2つに大別される。

まず、腎は尿の生成・排泄により、体内の水分量、電解質、酸・塩基、その他種々の細胞外液成分量を調節し、生体内部環境の恒常性を維持している。

具体的には、腎に流入した血液は、まず糸球体で選択的濾過を受け1日に約150Lもの大量の原尿が作られる。尿細管では、原尿の水分の約99%、ブドウ糖、アミノ酸など生体に必要な物質が再吸収され血管系に戻る。電解質や尿酸などは、尿細管での再吸収・分泌の過程を経て尿中に排泄される。

腎の内分泌機能には、造血ホルモンであるエリスロポエチン、昇圧物質であるレニン、血管作動性物質であるプロスタグランジン、キニンの産生、骨代謝に関与するビタミンDの活性化などがある。

主立った腎機能(尿の生成・排泄)検査には、以下のようなものがある。
腎血漿流量(RPF)600ml/min ①パラアミノ馬尿酸(PAH)ソーダクリアランス
②PSP排泄試験15分値(正常では25%以上)
③レノグラム segment A(血管相)
糸球体濾過量(GFR)100ml/min ①クレアチニンクリアランス(正常では90ml/min以上)
②チオ硫酸ナトリウムクリアランス
③イヌリンクリアランス
近位尿細管 ①PSP試験(120分値60%以上)
②尿中β2ミクログロブリン排泄量
(正常では尿中に20~500μg/l排泄される)
遠位尿細管 ①Fishberg濃縮試験:髄質機能検査
(正常では水制限の後、尿比重1.022以上)
②塩化アンモニウム負荷試験(正常では尿が酸性になる)

腎血漿流量:単位時間当りに両腎に流入する血漿量を表すが、臨床的には糸球体濾過量との比(濾過率)から、腎障害の病因や鑑別診断が可能である。腎臓を1回循環すると全て尿中に排泄される物質のクリアランスによって示され、パラアミノ馬尿酸(PAH)を用いるのが一般的である。

糸球体濾過(値)量:糸球体毛細血管内を流れる血漿から、単位時間当りに糸球体毛細血管壁を通過し、ボーマン腔に濾過される水の量である。GFRの測定には、糸球体で完全に濾過され尿細管で再吸収や排泄(分泌)されない物質(イヌリン、チオ硫酸ナトリウムなど)のクリアランスが用いられる(日常の臨床では,クレアチニンのクリアランスが代用される)。

近位尿細管:近位尿細管機能検査には、β2ミクログロブリン、N -アセチルβ-グルコサミニダーゼなどの尿中低分子蛋白や、尿中アミノ酸濃度の測定、PSP試験、グルコース、リン、重炭酸の最大再吸収量の測定などがある。

PSP(フェノールスルホンフタレイン)試験とは、静注したフェノールスルホンフタレイン(PSP)の尿中排泄量を測定する検査のことである。PSPは体内で代謝されず、約80%がアルブミンと結合し,残りの約20%が遊離した状態で腎臓に至る。遊離したPSPの約20%、すなわち静注したPSP全体の約4%が糸球体で濾過され、残りの96%は近位尿細管から排泄される。

遠位尿細管:Fishberg(フィッシュバーグ)濃縮試験、塩化アンモニウム負荷試験(尿酸性化能を調べる)がある。

Fishberg(フィッシュバーグ)濃縮試験とは、腎髄質機能検査の1つで、水分摂取制限による内因性抗利尿ホルモン(ADH)増加に対する腎髄質の尿濃縮機能をみる。具体的には、検査前日の午後6時までに水分の少ない夕食を摂取後、翌朝起床まで飲食を禁止し、翌朝覚醒時、1時間後、2時間後に尿比重、尿浸透圧を測定する。

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