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救急医療における鎮静法

2010.01.12 (Tue)
救急外来において、痛みや不安を主訴とする患者を診療することが多いが、このような場合に鎮痛・鎮静薬を適切に使用することは、人道的立場はもとより、患者の予後改善にとっても重要なことである。また各種治療・処置を円滑に施行するためにも、鎮静・鎮痛薬の投与を必要とすることも多い。

一方で、安易な鎮痛・鎮静薬の使用によって、

1)臨床所見を隠蔽し、診断の妨げになる可能性がある。
2)呼吸・循環抑制などによって患者の状態が悪化する。

これらの注意点もある。したがって、これらの薬剤の特徴を十分理解し、蘇生の準備を行ったうえで適切に使用する必要がある。

また、その使用環境・患者の状態により、以下のように薬剤の使用方法を考える必要がある。

鎮静薬(抗不安薬)の概説


化学名(商品名)薬量使用方法備考
ミタゾラム(ドルミカム)1A 10mg/2ml1回0.1~0.2mg/kg 筋・静注、持続静注時0.03~0.18mg/kg/hr妊婦の場合は用いない。
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)1A 5mg/1ml 10mg/2ml1回5~10mg、0.15~0.3mg/kg、1日1~2回筋・静注抗けいれん作用あり。
ヒドロキシジン(アタラックスP)1A 25mg/ml 50mg/ml1回25~50mg、1日1~2回筋注、静注、1回の静注量が100mgを越える場合はゆっくり。抗ヒスタミン作用あり。
ハロペリドール(セレネース)1A 5mg/ml1回1A筋注・静注、0.05~0.2mg/kg
フェノバルビタール(フェノバール)1A 10% 1ml1回50~100mg皮下・筋・静注催眠作用強い。呼吸抑制に注意。

環境による鎮静薬の選択


1)モニターがない場合
睡眠を伴わない鎮静には、ハロペリドール(セレネース)の筋注(ルート確保が困難な場合を想定)が多く選択される。使用量としては、ハロペリドール(セレネース5mg)1~2A筋注などを行う。

他にも、レボメプロマジン(ヒルナミン25mg)1A筋注、もしくは、ジアゼパム(セルシン10mg)1~2A筋注などを行うこともある。

2)動脈血酸素飽和度(SpO2)がモニター可能な場合(睡眠を伴う鎮静→静注)
ベンゾジアゼピン系薬剤を鎮静導入に用いることもある(気管挿管ができる状況で)。ミダゾラム(ドルミカム)0.03~0.06mg/kgを緩徐に静注、またはフルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)0.03mg/kgを緩徐に静注を行う。この時、SpO2が90%を下回らないように留意する必要がある。

呼吸抑制が出現した場合は、ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬フルマゼニル(アネキセート0.5mg/5ml)0.2mgを静注する。4分後覚醒しなければ0.1mgずつ追加、1mg(2A)まで投与可(ICUでは極量の2mgまで可)。なおアネキセートは半減期が短く、自発呼吸が回復した後に再び呼吸抑制に陥る危険性があるので注意する。

上記が無効な時は、バルビツレートの静注(気管挿管ができる状況で)などを行う。フェノバルビタール(フェノバール)もしくはチオペンタールナトリウム(ラボナール)などを行う。これらは、ベンゾジアゼピン系薬剤より確実だが、呼吸抑制が強く拮抗薬はない。血圧下降に注意する必要がある。

または、ハロペリドール(セレネース5 mg)1~2A静注を行う。

3)末梢血管を確保してテレメトリーによるモニター下で管理する場合
ベンゾジアゼピン系薬剤を鎮静導入に、ハロペリドールを鎮静維持に用いる。フルニトラゼパム(ロヒプノール、サイレース)を10倍希釈して静注、または50倍希釈して点滴静注する。

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眼の診察-瞳孔について 2)対光反射と調節反射

2009.05.31 (Sun)
瞳孔は、、まず大きさと形を観察した後、対光反射と調節反射を調べる。

2)対光反射と調節反射
①対光反射
対光反射とは、光が網膜に照射されると、瞳孔が小さくなる(縮瞳)反射のことを指す。健康人では、同時に光を当てていない側の瞳孔も縮小し、これを共感性対光反応という。

対光反射は、網膜神経節細胞(錐体と杆体)が受容器であり、ここで受けた刺激が網膜内シナプスを介して神経節細胞からの軸索に伝達される。

視神経→視交叉→視索の途中まで視覚伝導路と同一の経路を進むが、外側膝状体に達する前に視覚線維と分かれて上丘腕に入り、視蓋前野に達する。

ここで介在ニューロンを介して、同側は中脳水道の周囲を通って同側のEdinger-Westphal(エーディンガー・ウェストファル)核に入るが、対側は後交連付近で交叉して対側のE-W核に達する。

E-W核からの遠心路は、動眼神経の一部として、大脳脚内側溝で脳幹を離れ、海綿静脈洞を通って上眼窩裂から眼窩内に入る。瞳孔括約筋を支配する神経は、眼球後方にある毛様体神経節に入る。ここで介在ニューロンを介して、虹彩の瞳孔括約筋に達し、縮瞳が起こる。

このように片側眼の刺激は、介在ニューロンを介することにより、両側のE-W核に均等に伝達される。したがって、正常では直接対光反射と間接対光反射は同じ強さの反応として起こる。

要は、視神経、動眼神経がそれぞれ求心路、遠心路となっており、対光反射の消失はその経路のどこかの障害が考えられる。

②調節反射
遠くを見るときには瞳孔は散大し、近くを見るときには瞳孔は縮小する。これを調節反射(accommodation reflex)という。また、近くを見るときには両眼が鼻側へ偏位し、これを輻輳という。

ちなみに、

輻輳運動:眼前の物体を見る時,両眼の視軸がその物体に集まるように左右の眼球が内転する運動。
瞳孔反射:輻輳運動に伴い、瞳孔の縮小が起こる。
調節反射(遠近調節反射):レンズが厚くなる。

このようにして近くの物体に焦点が合わされる。この3つの反応を合わせて、瞳孔近見反射と呼ぶ。

疾患とそれぞれの特徴との関係については、以下のようなものがある。
疾患名特徴
脊髄癆、進行麻痺縮瞳とともに、対光反射が消失し、しかも調節反射は保たれている。この状態をArgyll-Robertson(アーガイル・ロバートソン)徴候という。
多発性硬化症(MS)、脳炎、慢性アルコール中毒、中脳腫瘍など対光反射は消失して調節反射は維持されているが、縮瞳はみられない
Adie症候群一側または両側の瞳孔がやや散大し、対光反射が遅延もしくは欠如し、調節反射がきわめてゆっくりと起こる。しばしば下肢、ときに上肢の腱反射も消失する。

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