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冠動脈造影について

2008.04.13 (Sun)
項目

解剖
撮影法
狭窄度の表現方法
冠血流の評価


解剖
AHAの冠動脈区域分類
冠動脈造影
右冠動脈
#1:右冠動脈起始部より鋭縁部までを2等分し近位部。通常は右室枝(RV ; Right ventricular branch)の起始部と一致し、右冠動脈起始部~RV分岐までを指す。
#2:起始部から鋭縁部まで2等分した遠位部。通常は、右室枝(RV)起始部~鋭角枝(AM)起始部までを指す。
#3:鋭角枝(AM)~後下行枝(PD)起始部までを指す。
#4:後下行枝(PD)分岐部~末梢の右冠動脈を指す。中でも、房室結節枝があるものを#4AV、後下行枝は#4PDと呼ぶ。

左冠動脈は、左主幹部(#5と呼ぶ)から、左前下行枝と左回旋枝に分かれる。

左前下行枝
#6:左主幹部~左前下行枝の第1中隔枝(First major septal branch)までを指す。
#7:第1中隔枝~第2対角枝(D2)までを指す。
#8:第2対角枝~末梢の左前下行枝を指す。
#9:第1対角枝(D1)を指す。
#10:第2対角枝(D2)を指す。

注)第2対角枝(D2)がみられない場合、第1中隔枝(Septal branch)より末梢~心尖部までを2等分し、近位部を#7、遠位部を#8とする。

左回旋枝
#11:左主幹部から分岐した左回旋枝の起始部を指す。通常、左回旋枝起始部~鈍角枝(Obtuse marginal branch:OM)までを指す。
#12:左回旋枝から分岐する鈍角枝(OM)を指す。
#13:鈍角枝(OM)を分岐したあと、後房室間溝を走行する部分を指す。
#14:#13から分岐して側壁を走行する側壁枝(PL)を指す。
#15:#13から#14を出した後の下降枝(PD)を指す。
撮影法
冠動脈の位置から、右前斜位(RAO)30°と左前斜位(LAO)60°の2方向を基本としている。この基本方向にcranial(頭側方向へ傾けた撮影)、caudal(腹方向へ傾けた撮影)を加える。

・右冠動脈
LAO:右冠動脈全体と房室結節枝、洞結節枝の観察に適する。
LAO Cranial:遠位部、後下行枝や後側壁枝の観察に適する。
RAO:右冠動脈全体(起始部、#3を除く)と円錐枝、右室枝を観察できる。左前下行枝への側副血行路の観察も可能となる。
撮影方向 診断部位
LAO 60° 右冠動脈全体像
RAO 30° 後下行枝・前右室枝・鈍縁枝
LAO 60°+ cran25° 後下行枝・房室枝

・左冠動脈
RAO:左冠動脈造影で最も標準的な方向。左主幹部、前下行枝、回旋枝の近位部、対角枝の起始部を除く全体像と中隔枝の観察に適する。
RAO Caudal:前下行枝本幹、特に近位部と回旋枝全体の観察に適する。
Straight Caudal:前下行枝の近位部、回旋枝全体の観察に適する。
Straight Cranial:前下行枝の近位部~中間部の観察、対角枝との分岐部と対角枝全体の観察に適する。
LAO Cranial:前下行枝全体、対角枝の分岐部と対角枝全体の観察に適する。回旋枝の中間部や分岐部が観察可能である。
LAO:対角枝の起始部、前下行枝の近位部~中間部の観察が可能である。回旋枝全体、右冠動脈への側副血行路の観察も可能となる。
正面:左主幹部の観察に適する。
撮影方向 診断部位
RAO 30° 左冠動脈全体像・回旋枝中間部
RAO 30°+ cran25° 前下行枝と対角枝の分離・回旋枝末端部
RAO 60°+ caud25° 左主幹部・前下行枝と回旋枝の分岐部・回旋枝中枢
LAO 60° 回旋枝全体像・対角枝・前下行枝末梢部
LAO 60°+ cran25° 前下行枝と対角枝の分岐部


狭窄度の表現方法
・AHA分類による狭窄度の分類:狭窄度をパーセント表示したもの。
25%(0~25%)
50%(26~50%)
75%(51~75%)
90%(76~90%)
99%(91~99%:99%では、造影遅延を伴う)
100%
となる。
・狭窄度の算出方法
a:狭窄直前の血管径
b:狭窄部直後の血管径
c:狭窄部の血管径
とすると、
狭窄度={1-2c/(a+b)}×100 (%)

冠血流の評価
狭窄部前後の健常部を対照として、通常実測50%以上の狭窄を有意狭窄いう。一般的に、75%以上の狭窄が治療対象となる。

CCS分類(Canadian Cardiovascular Society)
Ⅰ度:日常活動で症状ないが、激しい急激な長時間の仕事で発作を生じる
Ⅱ度:早足、坂道、寒冷、食事、200m歩行、1階以上の階段上昇で症状+
Ⅲ度:通常歩行、100~200m、1階でも症状+
Ⅳ度:かならず症状、安静時も症状+
TIMI分類
Grade0:完全閉塞で順行性血流を認めない
Grade1:明らかな造影遅延があり、末梢まで造影されない
Grade2:造影遅延を認めるが、末梢まで造影される
Grade3:末梢まで正常に造影される
Collateral
Grade0:なし
Grade1:かろうじてある程度
Grade2:部分的に本幹が造影される
Grade3:本幹が十分に造影される
冠動脈狭窄病変(プラーク)は、さらにその性状から以下のように分類される。
Type A:限局性病変(<10mm)、同心性病変(Concentric)
     近位部が軽度屈曲あるも 病変部での屈曲なし
     辺縁は整、石灰化なしか石灰化軽度
     非完全閉塞病変、非入口部病変、非分岐部病変、血栓なし
Type B:円筒状病変(10~20mm)、偏心性病変(Eccentric)
     近位部が中等度の屈曲 病変部が中等度の屈曲あり
     辺縁不整、石灰化中等度?高度の石灰化
     3ヶ月以内の慢性完全閉塞(CTO)
     入口部病変、分岐部病変、少量の血栓
Type C:びまん性病変(>20mm)
     近位部が高度の屈曲、病変部が高度の屈曲を示す(屈曲病変)
     3ヶ月以上経過した慢性完全閉塞病変(CTO)
     主要分岐部、グラフト病変

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胸痛の鑑別について

2008.04.13 (Sun)
胸痛とは、胸部に感じる痛みの総称であり、胸部の皮膚から胸内臓器すべてを含む臓器、組織の障害に由来する感覚的な訴えを示す。

痛みの発生部位は、胸内としては心臓、大動脈、肺、胸膜、胸壁由来には肋骨、筋肉、胸部手術術後疼痛、神経系由来には肋間神経、頸神経根、胸神経根、脊髄がある。胸部外の原因としては、腸管ガス、胆道系、消化管、膵臓、肝、脾が挙げられる。

胸部には、心臓を始めとして生命に直結する臓器があるため、突然の胸痛の鑑別診断においては緊急性、重症度の高い病態を念頭におき、診断治療を進めていく必要がある。たとえば、急性冠症候群、急性大動脈解離、急性肺塞栓、緊張性気胸、特発性食道破裂などは緊急性が高く、見逃すことができない。

診察においては、血圧・脈拍・呼吸数・SpO2などバイタルサインをチェックし、全身状態の評価を行う。意識レベル低下、四肢冷感、冷汗、頻脈などショック症状を疑えば速やかに診断、治療を進める。緊急度が高いと判断すれば、12誘導心電図,胸部X線撮影をオーダーし,酸素投与を開始、心電図モニターを装着し、採血を行うとともに末梢静脈ルートを確保する。血圧の左右差、上下差(解離性大動脈瘤)、奇脈(心タンポナーデ)、不整脈の有無も重要である。

問診(患者、あるいは家族やそばにいた人たちから)においては、胸痛の部位、放散、性状、誘因や軽快要因、時間関係(持続時間、頻度、再発のパターン)、起きやすい状況、合併した症状などを詳しく調べることが重要である。反復性・慢性の場合、心臓から、大血管、肺、消化器、筋・神経・骨、胸壁、神経症に至るまで幅広い鑑別診断が必要となる。

まず、急性(数十分~数時間前)発症か、亜急性・持続性(数時間~数日前から)発症か、反復性・慢性のものかを把握する。これにより以後の診断過程の緩急が変わってくる。急性発症の場合、緊急の処置を要する疾患である旧性心筋梗塞、不安定狭心症、解離性大動脈瘤、心タンポナーデ、肺梗塞、緊張性気胸などを鑑別する必要がある。

亜急性発症の場合、虚血性心疾患や大血管の異常よりも、心膜炎や呼吸器系・消化器系・筋骨格系の疾患の可能性が増してくる。咳・発熱・呼吸困難などの症状があれば、肺炎・気管支炎、胸膜炎などを疑う。上腹部から前胸部にかけての痛みの場合、消化器急性疾患も鑑別に含まれる。視診触診で、胸壁腫瘍や帯状疱疹を鑑別することも重要である。

疼痛発生の部位も鑑別診断上、重要である。
前胸部中心部の痛みである場合、食道、心臓、気管、気管支、肺動脈、大動脈などの臓器が問題となる。急激な痛みの発症は、解離性大動脈瘤か食道破裂を示唆し、それほど急激でない場合は心筋梗塞や逆流性食道炎が考えられる。痛みが下顎や腕に放散するときは心筋虚血を考え、背部に放散するときには食道炎、食道けいれん、食道破裂、膵炎、あるいは,解離性大動脈瘤の可能性がある。

側胸部胸膜性の胸痛であれば、急激な発症では筋損傷、肋骨骨折、肺塞栓症、気胸などが考えられる。肋骨骨折や筋損傷では、胸郭を動かすことで痛みが増強し、逆に固定によって痛みがとれる。かぜ症状を前駆として胸痛とともに膿性の喀痰をみる場合、気管支・肺の炎症が考えられる。手術後や安静臥床後、胸痛とともに血痰をみるなどの場合には、肺塞栓症が考えられる。

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