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脱水補正のための輸液療法について

2008.08.03 (Sun)
脱水症は、水とNaの両方の欠乏を伴うのが普通であるが、いずれがより多く欠乏するかによって高張性、等張性、低張性に分けられ、それぞれ補正法が異なる。欠乏量の推定は、臨床症状からの推定や検査値からの推定〔水分欠乏量=健常時の体重×0.6×(1-健常時のHt または TP/現在のHtないしTP)〕があるが、総合的な判断を必要とする。

臨床症状からの喪失体液量は、以下のように推定できる。
  臨床所見 予想喪失体液量
軽症 軽度の口渇、尿量減少 1~2L
中等症 粘膜の乾燥、高度の口渇 2~4L
頻脈、乏尿 4~6L
重症 皮膚ツルゴール低下、低血圧、ショック、乏尿 6L以上

1)高張性脱水
Naよりも水がより多く失われた状態で、血漿浸透圧は上昇し、高ナトリウム血症を伴う。高張な細胞外液は細胞内から水を引くので、低張性、等張性脱水に比べて末梢循環不全の症状が出現しにくい。

自由な飲水ができる患者では、高度の高張性脱水は起こることは少なく、逆に高齢者や意識障害患者、口渇中枢の障害されている患者でみられやすい。

治療は、5%ブドウ糖液が基本となるが(ただし、糖尿病による高浸透圧性昏睡やケトアシドーシスの場合は生理食塩液 が基本となる)、細胞内にはすでに浸透圧物質が蓄積しているため、是正を急ぐと細胞の浮腫(脳細胞浮腫による痙攣の原因になる)を招きかねない。そのため、ナトリウム濃度が50mEq/l 未満の液であるソリタT3、T4など)は初期輸液には用いてはならない。

治療開始1日目は血清Na値にして時間1mEq/L以下のペースで低下させる程度の輸液スピードが望ましい。水分欠乏量は、以下の式で求められる。

高ナトリウム血症時の水分欠乏量=[1-(現在の血清Na/目標血清Na)]×0.6×体重(kg)

2)等張性脱水
細胞外液の浸透圧と等しい体液が失われ、循環血液量の減少に伴い、頻脈や血圧低下、尿量減少などがみられる。

治療は生理食塩液 (通常100-300mL/時間で開始)やリンゲル液(通常100-400mL/時間で開始)などの等張液ないし開始液とよばれる1号液を使用する。水分欠乏量としては、以下のように計算できる。

水分欠乏量=健常時の体重×0.6×(1-健常時のHt または TP/現在のHtないしTP)

3)低張性脱水
体外に喪失する体液はほとんどが低張液であるため、このタイプの脱水は少なく、むしろ等張性脱水患者に3号液のようなNa濃度の低い輸液を不十分に行った場合にみられる。体外に水分が失われるのとともに、細胞内に水の移行が生じるため細胞外液の減少は著明で循環不全の徴候が生じやすいため、急速な輸液が必要となる。

ただ、Na濃度が極端に低いケースや、慢性に経過した低張性脱水の症例で血清ナトリウム値を急激に上昇させる輸液を行うと、神経細胞の脱髄が生じ、行動異常や意識障害、四肢麻痺を呈することがあるので、まずは血清ナトリウム値125mEq/l を目標にする。補充すべきナトリウム量は次式で計算できる。

補充Na量(mEq/l)=[125(mEq/l)-現在の血清Na値(mEq/l)]×0.6×体重(Kg)

必要ナトリウム量を生理食塩水(ナトリウム濃度154mEq/l)にて約4時間かけて輸液する。
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鉄欠乏性貧血の治療について

2008.08.02 (Sat)
貧血とは、末梢血液中の赤血球数(RBC)、ヘモグロビン(Hb)濃度あるいはヘマトクリット(Ht)値が低下した状態を指す。中でも、鉄欠乏性貧血とは、鉄が欠乏してヘモグロビン(Hb)合成が障害され、貧血を起こした病態である。

貧血の判定はHb<12g/dLとし、貯蔵鉄欠乏の確定診断指標として血清フェリチン値を用い、補助診断として総鉄結合能(TIBC:total iron binding capacity)を用いる。小球性貧血(MCV<80fL)、血清フェリチン値<12μg/L、およびTIBC≧360μg/dLといった所見がみられる。ちなみに、血清鉄は一般的診療の中ではよく測定されるが、関節リウマチや感染症、悪性腫瘍などの慢性炎症などでも低下するため、鉄欠乏に特異性は低い。

鉄欠乏性貧血の治療としては、体内への鉄供給量の減少、需要量の増大あるいは喪失量の増加のいずれかの原因があり、それを明らかにし原因疾患の治療を並行して行うことが重要となる。特に男性や閉経後女性に関しては、消化管出血や婦人科疾患の有無について検索し、原因となる疾患を有する場合は、それに対する治療が必要となる。また、同時に鉄剤投与を行う。

鉄剤投与法には、経口と静注とがあり、経口投与が原則となり1日100~200mgの鉄を投与する。
だが、Hb値は通常6~8週で正常化するがその後も貯蔵鉄の回復のため血清フェリチン値を目安として3ヶ月ほど内服治療を継続する(胃酸の影響を受けずに溶解しやすいクエン酸第一鉄ナトリウム[フェロミア]は、食後投与でも吸収されやすい)。患者には、服用を中断しないように説明する必要がある。

副作用としては悪心、胸やけ、下痢、便秘などがある。そのため、

a)経口鉄剤の副作用が強く、継続できない。
b)出血など体外喪失があり、経口による摂取では間に合わない。
c)消化管に病変があり、鉄剤投与が悪影響を与える。
d)鉄吸収不良
e)透析や自己血輸血における鉄補給


などの場合には、経静脈的に含糖酸化鉄(フェジンなど)を投与する。

ただ、鉄過剰にならないよう以下の式にて必要鉄量を計算して投与する必要がある。

投与量(mg)=[(16-患者Hb値)×2.7+17]×体重(kg)


鉄剤を静注しても貧血が改善しないからといって漫然と続けるべきでなく、改善しないときは鉄欠乏性貧血以外の原因を考慮する必要がある。

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