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潰瘍性大腸炎の診断に必要な検査

2009.11.03 (Tue)
潰瘍性大腸炎の実際の診断手順は

1)慢性の(粘)血便、または血性下痢より本症を疑う。
2)糞便の細菌学的検査、寄生虫検査などによって感染性腸炎を除外する。
3)内視鏡検査、生検によって本症を確診する。


という手順がとられる。また、注腸X線検査が行われることもある。

注腸X線検査
前処置を行わない活動期の注腸X線検査はS状結腸より口側の深部大腸の様相を大まかに知るのに有用であるが、粘膜の軽微な異常や出血はとらえることができない。重症例では下剤、浣腸などの前処置は禁忌であり、前処置なしで薄いバリウムを用いた充満法により注腸X線検査を行う。


重症例では下剤、浣腸などの前処置は禁忌である。前処置なしで薄いバリウムを用いた充満法により注腸X線検査を行う。検査による増悪の予防のために、バリウムの中に水溶性プレドニゾロン40~60mgを混入しておく。腹部単純X線写真で中毒性巨大結腸症が疑われるときは注腸検査は禁忌である。

 1)活動期のX線像:腸管の径および長さの短縮、およびハウストラの消失により鉛管像を呈する。また不整形潰瘍、微細な淡いニッシェ、鋸歯状辺縁、大小のprofile nicheなどがみられ、重症ではカラーボタン状潰瘍がみられる。
 2)緩解期のX線像:前述した管腔の異常、炎症性ポリポーシス、mucosal tagあるいは粘膜橋、粗造または細顆粒状の粘膜、network patternの乱れなどがみられる。しかし軽症で緩解期の場合は、X線的に異常を示さないこともある。
これらのX線所見は内視鏡所見と同様、直腸からびまん性、連続性に上行してみられる。

内視鏡検査
病期も含めて、潰瘍性大腸炎の診断には大腸内視鏡検査は必須である。下剤・浣腸により病勢が悪化することがあるので、原則として前処置は行わない。

活動期であれば、頻回の下痢のため残留便はほとんどみられない。できるだけ送気を少なくし、下部大腸を短時間に観察して、腸管穿孔や出血を増悪させないように注意深い操作が必要である。病変が肛門輪を越えてすぐから連続性、びまん性であることを確認するとともに、内視鏡的重症度を判定する。患者の苦痛がなく、重症でなければ、活動期粘膜の口側正常粘膜を確認できるまで挿入してもよい。

 1)活動期の内視鏡像:活動期の内視鏡像は、軽症では発赤、浮腫、顆粒状粘膜、びらんがみられる。中等では出血性膿、粘液付着、潰瘍などが、重症では出血、下掘れ潰瘍などがみられる。略緩解期には小腸絨毛状の粘膜がみられる。
 2)緩解期の内視鏡像:緩解期には炎症性ポリポーシス、粘膜橋、血管透見像の消失または不整などがみられる。

生検病理組織学的所見
活動期には炎症の程度に応じて粘膜の萎縮、炎症性細胞浸潤、杯細胞の減少、陰窩膿瘍などの所見がみられるが、陰窩膿瘍は本症に特異的な病理所見ではなく、感染性腸炎などでもみられるので注意を要する。

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潰瘍性大腸炎の診断について

2009.11.03 (Tue)

潰瘍性大腸炎の概念


潰瘍性大腸炎とは、主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明の非特異性慢性炎症性腸疾患である。Crohn(クローン)病とあわせて炎症性腸疾患inflammatory bowel disease(IBD)と呼ばれる。

近年、本邦でも有病率や発症率が上昇し、2004年の統計では患者数が8万人を超えている。初発年齢は10~60歳代で、特に20~30歳代が多い。

持続性、反復性の下血、粘血便、下痢を主症状とし、X線・内視鏡検査では血管透見の消失した顆粒状粘膜やびらん、潰瘍を連続性に認める。組織学的には粘膜・粘膜固有層の非特異的な炎症細胞浸潤や上皮の破壊がみられる。

病因は不明であるが、現在では遺伝的因子と環境因子が複雑に絡み合って、なんらかの抗原が消化管の免疫担当細胞を介して腸管局所での過剰な免疫応答を引き起こし、発症と炎症の持続に関与していると考えられている。

潰瘍性大腸炎の症状


主要症状としては、粘血便はほぼ必発の症状である。そのほか、下痢、腹痛、食欲不振、体重減少などがみられる。徴候・身体的所見としては、貧血、発熱、頻脈や腸雑音の亢進、圧痛などを認めることがある。

本症の臨床所見は病変範囲や重症度によって著しく異なる。直腸炎では排便時の出血以外、ほとんど無症状であるが、病変の範囲が広がり、重症度がひどくなると出血量が増して粘血・膿性便となる。また下痢の回数は増加して腹痛を伴い裏急後重を起こすようになり、発熱、頻脈、食欲不振、やせなどの全身症状を伴う。これらの臨床所見によって重症度分類が行われている

潰瘍性大腸炎の分類


分類としては、厚生労働省の特定疾患調査研究班により、病型、病期、罹病範囲、重症度、経過などによって以下のように分けられている。

病変の広がりによる病型分類 
1)直腸炎:病変が直腸に限局するもの。
2)左側大腸炎:病変範囲が横行結腸中央より肛門側にあるもの。
3)全大腸炎:病変範囲が横行結腸中央より口側に及ぶもの。
4)右側大腸炎または区域性大腸炎:病変部位が盲腸、上行結腸など右側結腸に限局しているもの。この病型の頻度は約1%ときわめて低い。

病期による分類:活動期と寛解期に分類される。

重症度による分類下痢、血便の程度、発熱、頻脈、貧血など全身症状の有無によって軽症、中等症、重症の3段階に分けられている。さらに重症のなかでも重篤なものは激症に分類されている。この分類は治療法や予後と関連し、重要である(以下の表参考のこと)。

臨床経過による分類
1)再発寛解型:初回発作が寛解した後、再発を起こしたもの。
2)慢性持続型:6か月以上活動期が続いているもの。
3)急性電撃型:激症で発病し、予後不良のもの。
4)初回発作型:初回発作のみで、その後の再発がないもの。


重症度分類は、以下の表により行われる。

重症中等症軽症
排便回数6回以上重症と軽症の中間4回以下
顕血便+++(+)~(-)
発熱37.5℃以上(-)
頻脈90/min以上(-)
貧血Hb 10 g/dl以下(-)
赤沈30 mm/時以上正常

また、激症の診断基準は、
1)重症基準を満たす。
2)15回/day以上の血性下痢が続いている。
3)38℃以上の持続する高熱がある。
4)10,000/mm^3以上の白血球増多がある。
5)強い腹痛がある。
さらに、発症の経過により急性激症型と再燃激症型に分ける。

診断基準としては、

次の(1)のほか、(2)のうち1項目、及び(3)を満たし、(4)の疾患が除外できれば、確診となる。
(1) 臨床症状
持続性又は反復性の粘血・血便、あるいはその既往がある。
(2)
[I] 内視鏡検査
(a) 粘膜はびまん性に侵され血管透見像は消失し、粗糙又は細顆粒状を呈する。
更に、もろくて易出血性(接触出血)を伴い、粘血膿性の分泌物が付着しているか、
(b) 多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。
[II] 注腸X 線検査
(a) 粗糙又は細顆粒状の粘膜表面のびまん性変化、
(b) 多発性のびらん、潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。その他、ハウストラの消失(鉛管像)や腸管の狭小・短縮が認められる。
(3) 生検組織学的検査
主として粘膜固有層にびまん性炎症性細胞浸潤があり、同時に杯細胞の減少又は消
失、びらん、陰窩膿瘍や腺の配列異常などが認められる。

(2)、(3)の検査が不十分、あるいは施行できなくとも、切除手術又は剖検により、肉眼的及び組織学的に潰瘍性大腸炎に特徴的な所見を認める場合は、(4)の疾患が除外できれば、確診とする。
(4) 除外すべき疾患は、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、日本住血吸虫症、大腸結核、キャンピロバクター腸炎などの感染性腸炎、放射線照射性大腸炎、虚血性大腸炎、薬剤性大腸炎、クローン病、腸型ベーチェット、リンパ濾胞増殖症などである。

注:
1 稀に血便に気づいていない場合や、血便に気づいてすぐに来院する(病悩期間が短い)場合もあるので注意を要する。
2 所見が軽度で診断が確実でないものは「疑診」として取り扱い、後日再燃時などに明確な所見が得られたときに潰瘍性大腸炎と「確診」する。



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