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感染性心内膜炎

2007.02.22 (Thu)


感染性心内膜炎



【概念】
敗血症によって細菌が心内膜に感染し、炎症性病変が形成されたものをいう。治療されなければ極めて予後不良である。
(注:以前は、細菌の感染が主なので細菌性心内膜炎bacterial endocarditisと呼ばれ、主に菌種の差による経過から、急性,亜急性などをつけて分類していた。しかし、経過のみでは分けられないし、また、糸状菌,リケッチアなどによるのも知られるようになり、感染性心内膜炎の名前で一括されるようになった)

【病因】
起炎菌としては口腔内常在菌である緑色連鎖球菌(緑連菌 streptococcus viridans)がもっとも多く、ブトウ球菌や 肺炎球菌など他のグラム陽性菌がそれに続く。稀に真菌が原因となることもある。

・連鎖球菌
慢性に経過することが多い。

・緑連菌
口腔内常在菌である。

・腸球菌
腸管内常在菌であるため、開腹術などが契機となって感染が成立する。

・ブドウ球菌
表皮の常在菌である。急性に経過することが多い。

【原因】
感染性心内膜炎を生ずるのは基礎心疾患があることが多く、僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁疾患などの弁膜症,心室中隔欠損症,動脈管開存症,ファロー四徴症などの先天性心疾患に起きることが多い。

・外科手術
契機としては抜歯などの歯科治療のあとに発症しやすく、この場合は緑連菌が起炎菌であることが多い。

・人工弁
人工弁心内膜炎は人工弁置換術後に生じる重篤な合併症であり、致死率が高い。手術を契機に感染するので起炎菌は表皮ブドウ球菌が多い。

・先天性心疾患
心臓内に乱流を形成するために菌が付着しやすいと考えられている。特に心室中隔欠損症と動脈管開存症が原因として多い。

【症状】
発熱や筋肉痛などの感冒様症状に続いて心雑音が出現する。

・間歇熱 intermittent fever
一日の日差が1度以上で、最低体温が正常まで低下するもの。

・心雑音
ある日突然として僧帽弁閉鎖不全症などによる心雑音を聴取するというパターンが多い。

・血管塞栓による合併症状
疣贅が末梢に起こした塞栓症状である。

・Osler結節
手指の末端の腹側にできる赤色~紫色の有痛性の結節である。手掌や足底にも出現し数日間で消退する。本症に特異的な所見である。

・網膜中心動脈塞栓症による突然の視力消失
発症後数時間で不可逆性の変化に発展するので、救急治療の対象となる。

・Roth斑
眼瞼結膜や網膜に好発する卵形の点状出血である。眼球の硝子体の凝集から成るもので網膜上に綿花状のものとして認められる。疾患特異性が高い。

・Janeway発疹
手掌もしくは足底の扁平な発疹であり、圧痛はない。径5mm以下の扁平不整形で無痛性の紅斑で主に母指球、小指球にできる。


・爪下の線条出血 splinter hemorrhages
局所の血管炎もしくは微小塞栓にもとづく血管透過性の亢進に起因する。

・肺塞栓症による呼吸困難

【合併症】
・弁膜症
僧帽弁や大動脈弁が好発部位となり、心内膜、特に弁膜に疣贅 vegitation を形成する。(まず閉鎖縁近くの弁膜上に潰瘍が形成され、そこに菌塊の混じった血栓が形成されて疣贅となる。周辺には炎症細胞が浸潤する。疣贅は瘢痕化して弁の変形が生じるほか、容易に心内膜から剥脱して塞栓となる)

・塞栓症と全身への梗塞の拡大

・網膜中心動脈塞栓症

・肺塞栓

・急性心筋梗塞

・脾腫

・免疫複合体による糸球体腎炎(免疫複合体の沈着による急性糸球体腎炎を生じると、血尿が出現し血清補体価は減少する)

【検査所見】
・心エコー所見
疣贅の確認と弁膜症の重症度判定に有効である。

・静脈血培養
敏感度は90%と高い。

・尿沈渣
血尿や白血球尿が見られることも少なくない。

【診断】
感染性心内膜炎の臨床診断に関するデューク(Duke)診断基準がある。
下記①~③のいずれかを満たす場合、感染性心内膜炎を診断する。
①大基準2つ、②大基準1つと小基準3つ、③小基準5つ


【病理所見】
血栓と菌塊から構成される疣贅。弁付近に濃紫色に染まった菌塊が集積する。

【治療】
まずは血液培養で起炎菌を確定し、それに応じた抗生剤を選択することが肝要である。

ただし本症は診断が困難であることのみならず、抗生剤の選択や経路の決定が難しいため、治療には困難が伴う。抗生剤が奏功しても弁膜症による弁破壊で心不全にまで発展することも多い。

・抗生剤
緑連菌に対してはペニシリンGの大量療法が第1選択となる。

・手術療法
急性期において敗血症や心不全が持続する場合には弁置換術の適応となる。急性期の適応としては、1.頻発塞栓 2.心不全悪化 3.内科的コントロール不能状態 4.真菌性心内膜炎 5.人工弁に伴う心内膜炎 6.膿瘍の形成である。
また、人工弁の場合では、早期手術のほうが予後が良いとされている。

【今日の一問一答】○or×
「感染性心内膜炎で弁疣贅が存在した場合には,大きさにかかわらず外科手術の絶対適応となる」
→答えはコチラ


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