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肥大型心筋症

2007.03.18 (Sun)


肥大型心筋症



【概念】
肥大型心筋症とは、原発性の心室肥大を来す心筋疾患である。従来、心筋症は「原因不明の心筋疾患」と定義されてきたが,1995年 WHO/ISCF委員会報告書では「心機能障害を伴う心筋疾患」と改められ、「原因不明の」が削除された。同報告書では,肥大型心筋症は「心室中隔の非対称性肥大を伴う左室ないし右室,あるいは両者の肥大」と定義し、「左室流出路閉塞をきたす閉塞性ときたさない非閉塞性」に分類され、前者では収縮期に左室内圧較差を生じる。常染色体性優性の家族歴を有す例が多い。

【病因】
心筋収縮関連蛋白(β‐ミオシン重鎖,トロポニンTまたはI,ミオシン結合蛋白Cなど約10種類の蛋白)の遺伝子異常が主な病因である。家族性例の半数以上はこれらの遺伝子異常に起因し、孤発例の一部も同様である。しかしながら、未だ原因不明の症例も少なくない。

【症状】
本症では大部分が、無症状かあるいはわずかな症状を示すだけのことが多く、たまたま検診で見つかるケースや家族内に同じ病気があって気付かれることなどが主である。突然死によって発見されることもまれではない。

症状があるときには、運動時に呼吸困難、胸痛などのほか、閉塞型では運動時に呼吸困難やめまい、失神などが出現することがある。これは左心室から血液が出てくる部分が狭くなっているため、運動したとき、全身に血液が充分送られないためである。心室頻拍や心房細動などの不整脈をきたしやすく、動悸もよくみられる症状である。

【検査】
・聴診:聴診上Ⅲ音、Ⅳ音や、心尖部から胸骨左縁にかけての非特異性収縮期雑音を聴取する。HOCMでは流出路狭窄により収縮中期で一度大動脈弁が半閉鎖状態となるため、二峰性の脈を触知することがあり、頚動脈波や心尖拍動図で確認できる。
・心電図:心肥大や陰性T波などの所見が見られる。特に重症不整脈とされている二段脈や心室頻拍がしばしばみられる。
・心エコー検査:非対称性中隔肥大asymmetric septal hypertrophy(ASH)や収縮期〔僧帽弁〕前方運動systolic anterior movement(SAM)が認められる例がある。 
・病理:確定診断には、心臓カテーテル検査で心臓の内腔の圧を調べたり、組織像を調べるための心筋生検が行われる。病理学的には心筋線維の肥大や錯綜配列がみられる。

【治療】
一般にβ遮断薬が主に用いられているが、最近ではカルシウム拮抗薬も試みられている。心室性不整脈が認められる時にはアミオダロンやその他の抗不整脈薬が用いられる。内科的治療に抵抗する場合には肥大した心室中隔の切除が考慮される。

【予後】
一般に良好である。しかし家族内に急死がみられる家族発生例では若年で急死をとげる傾向が強いので予後不良と考えて対処しなければならない。急死の原因としては心室性不整脈ventricular arrhythmiaが最も重要視されている。


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