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胞状奇胎

2007.04.29 (Sun)
[概念]
胞状奇胎とは、絨毛性疾患の一つであり、絨毛の上皮が異常増殖して胞状に腫大する。その間質は血管に乏しく、浮腫と退行変性のため透明な液を入れた大小の嚢胞となり、これらの嚢胞が連なっているためにブドウの房のような外観を呈する。

肉眼的にすべての絨毛が嚢胞化している全胞状奇胎total(complete)hydatidと、一部の絨毛が嚢胞化し、あるいは胎芽,胎児,臍帯を認める部分胞状奇胎partial hydatidiformmoleとがある。雄性発生説が有力である。

頻度は350分娩に1胞状奇胎の発生がある。

[症状]
1)子宮は妊娠週数に比して過大なことが多い
2)妊娠早期より不正出血をみる
3)重症悪阻および妊娠中毒症様症状
4)ルテイン嚢胞lutein cystの存在(20~30%)

[診断]
以上の臨床症状と超音波診断法により嚢胞状のエコーを認め、尿中絨毛性ゴナドトロピン(hCG)が1,000 IU/mLであれば診断できる。

肉眼的には、水腫化絨毛が直径2mmを超えるものを胞状奇胎と呼ぶ(正常では、直径1mmを超えるような絨毛は認めない)。
組織学的には、絨毛周囲の栄養膜細胞の増殖が特徴的である。
絨毛が子宮筋層内へ侵入している場合を、破壊性奇胎と呼ぶ。

病理組織像:胞状奇胎
水腫状に腫大した絨毛が見られる。

マクロ像:肉眼的に見ると、異常増殖して水疱状になった絨毛がブドウの房状に見える。

[治療]
診断がつけば,直ちに子宮内容除去術を行うが、本症の約8~10%が侵入胞状奇胎に、1~2%が絨毛癌になるので娩出後の管理が重要である。

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