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ポジトロン断層法(PET)の臨床応用

2007.06.03 (Sun)
【概念】
ポジトロン断層法(Positron emission tomography;PET)とは、陽電子検出を利用したコンピューター断層撮影技術である。放射性核種(ポジトロン核種)の標識化合物を投与して、心臓、脳、腫瘍などを画像化する。種々のトレーサーを用いて、生体の機能や代謝を定量解析する。主に中枢神経系の代謝レベルを観察するのに用いられてきたが、近年、腫瘍組織における糖代謝レベルの上昇を検出することにより癌の診断に利用されるようになった。

陽電子(positron)崩壊する核種で標識された化合物を放射性トレーサーとして用いる。核種の半減期は一般に短い(15O: 2分、13N: 10分、11C: 20分、18F: 110分など)。核種は、体内で崩壊して1個の陽電子を放出する。放出された陽電子は近傍の原子の電子と対消滅し、電子の静止質量に等しいエネルギー(511keV)の光子(γ線)が、通常2個放出される(消滅放射線)。おのおのの光子は元の電子と陽電子の運動量を保存する為に、正反対の運動量をもつ。すなわち、反対方向へ対で放出される。

PET装置は、人体の周囲を取り巻くように配列された多数のγ線検出器からなる。これらの検出器のうちいずれか2つが同時にγ線を検出したとき、その2つの検出器を結ぶ直線上のどこかで対消滅が起きたと考えられる。 そこで、この情報を集めてCTと同様のコンピューター画像処理を施すことにより、トレーサーの分布を示す三次元画像を生成する。

CTやMRIが主に組織の形態を観察するための検査法であるのに対し、PETはSPECTなど他の核医学検査と同様、生体の機能を観察することに特化した検査法である。

【臨床応用】
脳内での神経活動が高まるとその部位で代謝量や血液流量が増大するので、捉えたい指標に合わせて上に述べたトレーサーを選ぶ。グルコース代謝量を測定したいときにはトレーサーとして18F-fluorodeoxy glucose(FDG)を主に用いる。

FDGは細胞内でHexokinaseによってFDG-6-Pに変換され集積される(metabplic trapping)。6時間の絶食後にFDGを注入し、静注後1時間安静にして撮像する。 検査直前に膀胱内のFDGを排泄させてから撮影する。

【FDG-PETによる肺癌の診断】
肺癌のステージングや治療適応の決定に有用であり、リンパ節や遠隔転移の診断に用いられる。組織型によらず診断可能である。分化度としては、低いほど診断能が高い。高分化型では偽陰性が少なくない。また、炎症性腫瘤や肉芽腫は、偽陽性を呈することがある。

【骨転移の診断について】
骨シンチグラフィFDG-PET
偽陽性骨折、炎症、変性炎症
偽陰性溶骨性転移
びまん性転移
膀胱の近傍
造骨性転移
脳や膀胱の近傍


【FDG-PETの欠点】
1)画像の解像度が悪いため、小病巣は見逃されやすい(空間分解能)
2)部位の特定が困難(形態情報)
3)FDGは脳、心臓、膀胱などに生理的に集積する(生理的集積)
4)FDGは炎症性などに非特異的に集積(非特異的)




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