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統合失調症の症状

2007.07.19 (Thu)
思考、知覚、自我意識、意志・欲望、感情など、多彩な精神機能の障害が見られる。大きく陽性症状と陰性症状の二つがあげられ、その他の症状に分けられる。発病当初は前駆症状としてあ、神経衰弱様状態や身辺の始末のだらしなさ、または引きこもりの傾向が出てくることが多い。
急性期には派手な病的症状として、多彩な幻覚や妄想や著しい興奮(→陽性症状)を伴う行動異常を発現する。病識を欠くことが多い。
治癒しないまま慢性期にはいると、無為・自閉的な生活となることが多い(→陰性症状)。

陽性症状
1)思考の異常
思考過程の障害と思考内容の障害に分けられる。
2)思考過程の異常
連合弛緩、滅裂思考(話の脈絡がなくなる)。
顕著になると言葉のサラダ(意味のない単語の羅列を発する)といわれる状態になる。
的外れな応答(他人の質問に対し、的外れな答えを返す)
3)思考内容の異常
他人にとってはありえないと思えることを事実だと信じること。妄想には以下のように分類される。
一人の統合失調症患者において以下の全てが見られることは稀で、1種類から数種類の妄想が見られることが多い。また統合失調症以外の疾患に伴って妄想がみられることもある。関連語に妄想着想(妄想を思いつくこと)、妄想気分(世界が全体的に不吉であったり悪意に満ちているなどと感じること)、妄想知覚(知覚入力を、自らの妄想に合わせた文脈で認知すること)がある。
・被害妄想(他人が自分を害しようとしていると考える)
・関係妄想(周囲の出来事を全て自分に関係付けて考える)
・注察妄想(常に誰かに見張られていると感じる)
・追跡妄想(誰かに追われていると感じる)
・心気妄想(重い体の病気にかかっていると思い込む)
・誇大妄想(患者の実際の状態よりも、遥かに偉大、金持ちだ等と思い込む)
・宗教妄想(自分は神だ、などと思い込む)
・嫉妬妄想(配偶者や恋人が不貞を行っている等と思い込む)
・被毒妄想(飲食物に毒が入っていると思い込む)
・血統妄想(自分は天皇の隠し子だ、などと思い込む)
・家族否認妄想(自分の家族は本当の家族ではないと思い込む)
また、上記の妄想に質的に似ているが、程度が軽く患者自身もその非合理性にわずかに気づいているものを「~~念慮」(たとえば、被害念慮、注察念慮)という。

4)知覚の異常
実在しない知覚情報を体験する症状を、幻覚(hallucination)という。幻覚には以下のものがあるが、統合失調症では幻聴が多くみられる。また、統合失調症以外の疾患(せん妄、てんかん、気分障害、痴呆性疾患など)、あるいは特殊な状況(断眠、感覚遮断など)におかれた健常者でも幻覚がみられることがある。
・幻聴(auditory hallucination):聴覚の幻覚
・幻視(visual hallucination):視覚性の幻覚
・幻嗅(olfactory hallucination):嗅覚の幻覚
・幻味(gustatory hallucination):味覚の幻覚
・体感幻覚(cenesthopathy):体性感覚の幻覚
幻覚を体験する本人は外部から知覚情報が入ってくるように感じるため、実際に知覚を発生する人物や発生源が存在すると考えやすい。そのため、「悪魔が憑いた」、「狐がついた」、「霊が話しかけてくる」「宇宙人が交信してくる」「電磁波が聴こえる」、「頭に電波が入ってくる」、「脳の中に装置を埋め込まれた」などと妄想的に解釈する患者も多い。
また、幻味、幻嗅などは被毒妄想(他人に毒を盛られているという妄想)に結びつくことがある。

5)自我意識の異常
自己と他者を区別することの障害。自己モニタリング機能の障害と言われている。すなわち、自己モニタリング機能が正常に作動している人であれば、空想時などに自己の脳の中で生じる内的な発声を外部からの音声だと知覚することはないが、この機能が障害されている場合、外部からの音声だと知覚して幻聴が生じることになる。音声に限らず、内的な思考を他者の考えと捉えると考想伝播につながり、ひいては「考えが盗聴される」などという被害関係妄想につながることになる。作為体験(させられ体験)と呼ばれ、以下のようなものがある。
・考想吹入(他人の考えが入ってくると感じる)
・考想奪取(自分の考えが他人に奪われていると感じる)
・考想伝播(自分の考えが他人に伝わっていると感じる)
・考想察知(自分の考えは他人に知られていると感じる)

6)意欲の異常
・緊張病性興奮
・緊張病性昏迷
突然の興奮が起こる。興奮は周囲の状況からみても了解不能で、その行為には首尾一貫性がないなど、意志によって統制されていない。やがて、すべての行動は止まり、不動となる。意識は保たれ、後にそのときのことを想起できる。
・拒絶
・常同(同様の単純な身体的動作や言動を繰り返す)
・空笑
・独語

陰性症状
1)感情の障害
・感情鈍麻(感情が平板化し、外部に現れない)
・疎通性の障害(他人との心の通じあいが無い)
2)思考の障害
・常同的思考
・抽象的思考の困難
3)意志・欲望の障害
・自発性の低下
・意欲低下
・無関心

その他の症状
1)現実検討力の障害
未治療の患者では、自分が病気であるという自覚(いわゆる「病識」)がない、あるいは不足している患者が多い。これも一種の現実検討力の障害と考えられる。また、遂行能力(複雑な仕事や課題を順序だてて行ったり、同時に二つの課題を行うことなど)、社会的な状況の判断能力、将来に対する計画性など、現実検討力が低下している患者も多い。

2)感情の障害
抑うつ・不安を伴うこともある。

■Schneiderの一般症状
シュナイダーは統合失調症の診断上、最も重要とみられる主要な8つの体験様式を第1級症状(FRS:First Rank Symptom)として指摘した。
[幻聴]
1)考想化声:自分の思考が反響して聞こえる。
2)対話性幻聴:話しかけと応答という対話形式をとる幻聴
3)自己の行為を批評する形の幻聴
[作為体験]
4)身体的被影響体験
5)感情・欲動・意志の作為体験や被影響体験
6)思考奪取・思考干渉をはじめとする思考領域のさせられ体験
7)考想伝播
[妄想知覚]
8)妄想知覚
これらの背景には、自我障害が主体となった病態があるとした。

■Bleulerの一般症状
ブロイラーは、精神生活の全体を意識の統合過程などから説明する連合心理学の立場から、横断的精神症状の特徴を重視し、一次性障害は連合弛緩などの連合障害にあるとして、ブロイラーの4つのAと呼ばれる基本症状を提唱した。
1)連合弛緩 Association(思考のまとまりの悪化)
2)感情障害 Affective Disorders(感情鈍麻・平板化、感情の敏感性など)
3)自閉 Autism(現実の世界を避けて自分の殻に閉じこもる)
4)両価性 Ambivalence(同一対象に対する相反する感情や意志が同時に生じる)


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