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悪性線維性組織球腫malignant fibrous histiocytoma(MFH)

2007.08.02 (Thu)
【定義】
異型性の強い線維芽細胞様細胞と組織球様細胞からなり、奇異な形の巨細胞や炎症性細胞浸潤を混じえてきわめて多彩な像を示す悪性度の高い肉腫である。 

【分類】
分類亜型として、以下の5型に分けられるが、同一腫瘍内でもこれらの組織型が混在していることが多い。
1)花むしろ状‐多形型
2)粘液型
3)巨細胞型
4)炎症型
5)類血管腫型

【統計】
50歳代から70歳代の中高齢者に多くみられ、体幹や四肢の軟部組織や後腹膜に分葉状・多結節性の腫瘤として発生するが、近年では肺、心、肝、脾、骨などさまざまな臓器での発生も報告されている。長管骨、特に大腿骨に好発する。

【発生】
本腫瘍の起源は不明であるが、間葉系細胞に由来するという説が有力である。
現在MFHの組織発生については、
1)未分化間葉系細胞が一定の形態的表現を示さずに最も未熟で低分化な肉腫として発生してきたもの
2)いったん脂肪肉腫、平滑筋肉腫など一定方向への分化を示して発生してきた腫瘍の一部が、いわゆる脱分化dedifferentiationによって未分化な肉腫の形態をとって増殖してきたもの
などの説明がなされているが、いずれにしてもEnzinger, Weissらがこの腫瘍を整理した時期に比べると、MFHはかなり雑多な性格の強い腫瘍グループとする意見が強まってきている。

【頻度】
悪性線維性組織球種の概念が提唱されてからは、軟部組織肉腫の中での発生頻度はMFHが脂肪肉腫liposarcomaや平滑筋肉腫leiomyosarcomaを抜いて第1位を占めるようになった。かつて多形性の強い脂肪肉腫、横紋筋肉腫rhabdomyosarcoma、線維肉腫fibrosarcomaとされてきた症例の一部は、MFHであろうと推定されている。
しかし、1980年代後半からの研究によって、MFHを構成する腫瘍細胞には真の組織球の性格が判然としないこと、非腫瘍性の反応性組織球や巨細胞が混在していることが明らかとなってきており、FletcherらはMFHの疾患単位としての独立性を疑問視している。

【症状・検査】
疼痛、腫脹が主な症状である。X線写真でで著明な骨破壊像が見られ、通常、周囲に骨硬化像は欠く。

【組織学的所見】
組織学的には、多形性で異型に富む腫瘍細胞が花むしろ状、魚の骨状を呈して増殖する。多形の腫瘍細胞も種々の程度で混在する。間質には硝子化が著明であるが、骨および軟骨の形成は認めない。

【鑑別疾患】
多臓器からの悪性腫瘍の転移、骨、類骨あるいは軟骨形成に乏しい骨肉腫との鑑別が重要である。骨肉腫との鑑別では、発症年齢(骨肉腫では、10歳代が60%と最も多く、次いで20歳代が15%)が重要な鑑別点となる。
線維肉腫は多形性に乏しい。平滑筋肉腫や横紋筋肉腫は筋原性の分化を示し、デスミンやアクチンが強陽性である。良性線維性組織球腫や髄鞘巨細胞腫では細胞異型や異常核分裂増が見られない。粘液線維肉腫は腫瘍全体が粘液状部からなり、充実性の線維性部はなく、渦巻き状構造は目立たない。


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