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両側頸部と鼠径部とのリンパ節腫脹を主訴に来院した65歳男性

2007.08.03 (Fri)
今日の一問必修の基本的事項11「主要疾患・外傷・症候群」
 65歳の男性。両側頸部と鼠径部とのリンパ節腫脹を主訴に来院した。
現病歴:3か月前からリンパ節腫脹が出現し,次第に増大してきた。この間,発熱や体重減少は認めていない。
既往歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長166cm,体重62kg。体温36.7℃。脈拍72/分,整。血圧116/66mmHg。皮膚は正常。心雑音はない。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦で,肝・脾を触知しない。両側頸部と鼠径部とに,直径2~3cm大の表面平滑で弾性硬のリンパ節を各々数個触知する。可動性を認めるが圧痛はない。下肢に浮腫を認めない。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-)。血液所見:赤血球524万,Hb 15.2g/dl,Ht 47%,白血球5800(桿状核好中球2%,分葉核好中球56%,単球10%,好酸球4%,好塩基球3%,リンパ球25%),血小板34万。血清生化学所見:総蛋白7.3g/dl,アルブミン4.2g/dl,尿素窒素12mg/dl,クレアチニン0.7mg/dl,総コレステロール217mg/dl,AST 50 IU/l,ALT 28 IU/l,LDH 530 IU/l(基準176~353),可溶性IL-2受容体2280U/ml(基準220~530)。免疫学所見:CRP 5.4mg/dl,ツベルクリン反応陰性。
 最も考えられるのはどれか。
a 伝染性単核症
b 悪性リンパ腫
c 多発性骨髄腫
d 結核性リンパ節炎
e 癌のリンパ節転移



正解:b 正解率:69.3%

解説:
①65歳男性
②リンパ節腫脹(→3カ月前から弾性硬、可動性あり、圧痛なしなどの所見から、悪性リンパ節が疑われる。【補足】を参照のこと)
③LDH高値(→悪性腫瘍などを示唆するが、特異的ではない)
④CRP高値(→これも特異的ではない)
④可溶性IL-2受容体高値(→悪性リンパ腫の腫瘍マーカー)

以上より、悪性リンパ腫と診断される。

×a 伝染性単核症は、一過性のリンパ節腫大であり、3カ月も慢性的に続くことは考えにくい。

○b 上記理由より、悪性リンパ腫

×c 多発性骨髄腫でも、リンパ節腫大をきたすことがあるが、骨の疼痛や貧血といった症状や所見がみられることが多い。

×d 結核を疑わせる所見はなく、ツベルクリン反応陰性であることからも否定的である。

×e 癌のリンパ節転移ではリンパ節所見として、硬く、しばしば凹凸不整、可動性がないことが多い。発熱や体重減少は認めておらず、 原発巣に関する情報が無い。積極的には正解としづらい。

【補足】リンパ節腫脹の鑑別
・硬さ
急性炎症のリンパ節腫脹は緊張はあっても軟かい。
慢性炎症のリンパ節は急性炎症のものより通常硬く、悪性のリンパ節腫脹との鑑別はしばしば困難である。
悪性腫瘍の転移巣はさらに硬い。
結核でもリンパ節石灰化が起こると非常に硬く触知される。

・可動性
炎症性疾患によるリンパ節腫脹は可動性であり、周囲組織との癒着があってもわずかに動く。
悪性腫瘍では、周囲組織への浸潤がない場合は炎症性リンパ節腫脹と同様。進行し浸潤が起きてくると可動性がなくなる。
悪性リンパ腫では、リンパ節腫脹がかなり高度でも移動性が残ることもある。

・圧痛
自発痛、圧痛のあるものは急性化膿性炎症が多い。
結核、慢性炎症、および悪性腫瘍では無痛(増殖速度の速い腫瘍では、疼痛を生ずるものもある)。


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