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症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part02

2007.08.26 (Sun)
身長170cm、体重76㎏(3ヶ月前は、70kg)。発熱、関節痛などはない。尿定性検査では、尿蛋白(4+)、尿潜血(+)、尿糖(一)。尿定量検査では、尿蛋白650mg/dl、尿ク  レアチニン100mg/dl。血液学的検査では、TP4.5g/dl、Alb2.3g/dl、Cr1.0mg/dl、T.Chole 470mg/dl、CRP0.1mg/dl。
<<設問02>>このデータより、患者さんの一日尿蛋白量と糸球体濾過値を推測すると?

<<設間03>>ここまでで得られる診断は?

<<設問04>>さらに診断をすすめる上で、どのような検査が必要か?

<<設問02>>一日尿蛋白量と糸球体濾過値を推測
【答え】一日尿蛋白量:6.5g/day 糸球体濾過値:80.9ml/min
【解説】
 一日尿蛋白量は、以下の式に表すことができます。
 1日尿蛋白(mg/day)
 =随時尿蛋白量(mg/dl)×1日尿量(dl/day)
 =随時尿蛋白量(mg/dl)×1日Cr排泄量(mg/day)/随時尿Cr量(mg/dl)
 と表すことができる。ここで、1日Cr排泄量(mg/day)=1000mgと近似すると、
 1日尿蛋白(g/day)=随時尿蛋白量(mg/dl)/随時尿Cr量(mg/dl) 
故に、1日尿蛋白(g/day)=随時尿蛋白量(mg/dl)/随時尿Cr量(mg/dl)
=650(mg/dl)/100(mg/dl)=6.5g/day
となります。

次に糸球体濾過量(GFR)ですが、これは1分間に糸球体で濾過される血漿量のこと。
直接は計れないので、糸球体で濾過されて再吸収されない物質を使って近似します。
 クレアチニンクリアランス(ml/min)
 =尿中Cr濃度(mg/dl)×1分当たりの尿量(ml/min)/血清クレアチニン濃度(mg/dl)
で求めますが、変数を求めるのが大変ということもあり、臨床的には以下の式が用いられています。

 推定CCr(ml/min)=(140-年齢)×体重/(72×血清クレアチニン濃度)

この式から、推定CCr=(140-56)×76/(72×1.0)=80.9 ml/min と求められます。

・ミニテスト Part 01
血清Cr1.0mg/dlの時、最も糸球体濾過値が低いと思われるのはだれですか?
 ただし、体重はみんな60kgとします
 1)20歳男性 2)20歳女性 3)70歳男性 4)70歳女性
【答え】4)70歳女性
【解説】
 クレアチニン排泄量は筋肉量によります。
 ゆえに、筋肉量では若年>高年となり、体重(大)>体重(小)、男性>女性という順番になります。よって、20歳男性>20歳女性>70歳男性>70歳女性という順番になります。

<<設問04>>さらに診断をすすめる上で、どのような検査が必要か?
【答え】ネフローゼ症候群の原疾患推測のために行なうべき検査(以下の解説参照)
【解説】
 本症例では、1)1日尿蛋白量:6.5g/day 2)TP4.5g/dl,Alb2.3g/dl 3)T.Chole 470mg/dlという検査値であり、さらには浮腫があります。ゆえに、ネフローゼ症候群であると診断されます。ちなみに、ネフローゼ症候群の診断基準(成人の場合)は以下の通り。

1)タンパク尿 :1日3.5 g以上の尿タンパク量を持続する
2)低タンパク血症:血清総タンパク量は6.0 g/dL以下
          または血清アルブミン値3.0 g/dL以下
3)高脂血症:高コレステロール値250mg/dL以上
4)浮腫

 そこで、さらに原疾患を鑑別していく上で、以下のような検査が必要となります。

血算・血液像:SLE
尿沈渣:SLE
尿蛋白の選択性:MCNS
血清(尿)蛋白電気泳動(Benes-Jones蛋白):骨髄腫腎、アミロイドーシス
血清補体:CH50、C3、C4 MPGN、SLE、AGN
血清CRP:血管炎症候群(mPN、Wegenerなど)
抗核抗体(抗DNA抗体):SLE
ウィルス検査:HBV(→MN)、HCV(→MPGN)、HIV(→FSGS)
p-ANCA(→mPN) c-ANCA(→Wegener)
抗GBM抗体(Goodpasture)、ASO(AGN)

・ミニテスト Part 02
ネフローゼを来たしうる疾患のうち、血清補体価が低下しうる疾患を3つ挙げよ。
【答え】ループス腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎
【解説】
ネフローゼ症候群の鑑別を行う上でも、重要な検査所見です。

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part01

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part02

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part03


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