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2007.08.26 (Sun)

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part03

抗核抗体陰性、CH5045 U/m1、蛋白分画 M蛋白なし、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、腎エコーでは、腎臓の形態は正常。腎生検を施行して、PAM染色で糸球体基底膜のびまん性肥厚およびSpike lesion、IgG蛍光抗体法でIgG、C3の係蹄壁に沿った顆粒状ないし連珠状沈着の所見を得た。
<<設問05>>診断と治療方針は?
<<設問06>>この患者に、腎臓の予後についてどう説明するか?

<<設問05>>診断と治療方針は?
【答え】
診断:膜性腎症 
治療法:ステロイドを使用し、尿蛋白の減少がみられない時はカクテル療法
【解説】
・診断について
 抗核抗体陰性とのことから、ループス腎炎の可能性は低くなります。また、CH5045 U/m1(基準値30〜50U/ml)と血清補体値は正常であることから、ループス腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎は否定的です(ミニテスト参照のこと)。さらに、M蛋白はみられないことからアミロイドーシスは考えにくいです。HBs抗原陰性、HCV抗体陰性では絞りにくいですが、これらが陽性の場合は上記<<設問04>>のような鑑別の有力な情報となります。
 また、腎エコーでは形態正常であったことから、腫大(急性腎不全や急性腎盂腎炎、水腎症、腫瘍浸潤、アミロイドーシスなどでみられる)や縮小(慢性腎炎進行期など)、腫瘤性病変、嚢胞はみられなかったと考えられます。
 最後に、腎生検の結果ですが、以下のような所見がみられます。
 光顕:糸球体基底膜のびまん性肥厚およびSpike lesion
 蛍光抗体法:IgG、C3の係蹄壁に沿った顆粒状ないし連珠状沈着
このことから、膜性腎症と確定診断することができます。

・治療方針について
 膜性腎症の治療法としては、まずはステロイドを使用し、尿蛋白の減少がみられない時はカクテル療法を行います。原発性糸球体腎炎におけるカクテル療法とは以下の3剤、
 1.ステロイド
 2.抗血小板療法(ジピリダモール)や抗凝固薬
 3.免疫抑制薬(シクロフォスファミド、アザチオプリン、ミゾリビン、シクロスポリンA)
 を組み合わせた治療法です。
ネフローゼ症候群の治療方針は、以下のようにまとめることができます。
 
1)食事療法 
【蛋白】0.8〜1.1g/kg/day(低蛋白食)
【熱量】高カロリー食35kcal/kg/day
【塩分】5〜7g/day       
【水分制限】難治性浮腫の場合のみ
2)薬物療法
【ステロイド薬】一次性では第一選択薬のことが多い特に微小変化型
【免疫抑制剤】ステロイドのみでは改善しない場合、
【抗血小板剤、抗凝固剤】
【レニン-アンギオテンシン系阻害薬】糖尿病性浮腫は第一選択
【その他】利尿薬、アルブミン製剤、LDL吸着
3)生活規制    
4)入院安静

<<設問06>>この患者に、腎臓の予後についてどう説明するか?
【答え】ネフローゼ症候群を呈する膜性腎症の腎予後は、芳しくない
【解説】 
未治療では25%は慢性腎不全に移行する。約75%は寛解に入ったり、腎機能が安定したり、非常に緩徐に進行する。

・ミニテスト Part 03
ネフローゼ症候群を来たしている次の疾患の腎予後が悪い順は?
1)膜性腎症 2)微小変化群 3)巣状糸球体硬化症 4)膜性増殖性糸球体腎炎
【答え】3≒4>1>2

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part01

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part02

症例01:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part03



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