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症例02:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part03

2007.08.27 (Mon)
入院での治療により、浮腫はある程度改善したが、下腿には残存した。数ヶ月は外来通院していたが、急に通院をやめてしまった。1ヶ月後、近くの某病院の医師より連  絡があり、透析設備がないので、透析を頼むとのことであった。連絡先の医師の話では患者は激しい腹痛のため、救急外来を受診。医師は尿管結石を疑い腎孟造影を施行したところ、左尿管に陰影欠損を認めた。点滴と鎮痛剤投与などで行い、翌日には排石して痛みは消え退院となった。しかし3日後、手足やロ唇にしびれがあるとのことで再診し、血液検査をしたところ、Cr5.5mg/dl、BUN68mg/dl,Na135mEq/L、K7.2mEq/L、Cl 95mEq/Lとのことであった。

<<設問05>>血清Crが急に上昇した理由は?

<<設間06>>某病院医師の転院の依頼について、どのように返事をするか?

<<設問05>>血清Crが急に上昇した理由は?
【答え】造影剤による急性腎不全
【解説】
 糖尿病性腎症を発症している患者が加療を自己中断し、1ヶ月が経過しています。尿管結石による腹痛をきたし、造影CTをとったところ左尿管に陰影欠損を認めています。3日後、手足やロ唇にしびれがあるとのことで再診し、血液検査をするとCr5.5mg/dl、BUN68mg/dl、K7.2mEq/Lと急性腎不全(本来の臨床像では、1日あたりBUNが10mg/dl、血清Crが0.5mg/dl以上上昇し、これが連日続き、画像診断で腎が正常大or腫大がある場合)をきたしており、透析が必要だと判断されたようです。
 原因となったのは、造影で用いられた造影剤です。すでに腎機能低下状態にあった患者が、造影剤を使用したことでさらに腎機能を低下させることが問題となっています。ちなみに、造影剤による急性腎不全の危険因子となるものが、ミニテストに出されています。

ミニテスト Part05
次のうち、造影剤による急性腎不全の危険因子でないのは?
 1)心不全 2)脱水 3)糖尿病 4)既存の腎機能低下5)NASIDs併用 6)気管支喘息 7)多発性骨髄腫
  
【答え】6)気管支喘息
【解説】
 全て造影剤使用の際の危険因子ですが、6)気管支喘息は、腎不全ではなくアナフィラキシーショックを起こす原因と考えられています。
【補足】
 造影剤を用いるときは、上記のような疾患の既往歴をしっかりと把握することが重要となってきます。また、造影剤によるアレルギー症状が出たことのある患者に対しては、用いない方が無難であることは言うまでもないことでしょう。さらに、初めて使用する場合には、3日程度経過してから皮疹が生じてくることがある、とあらかじめ説明しておいた方がいいようです。

<<設間06>>某病院医師の転院の依頼について、どのように返事をするか?
【答え】現在、高K血症を呈しており、心不全を起こす可能性がある。早急に高K血症の対処を行い、状態を安定させてから転院させて欲しいと説明する。
【解説】
高K血症では、筋・神経系の興奮異常が起こります。意識障害のほか、筋力低下、脱力がしばしば認められ、心筋の異常として不整脈、伝導障害、心停止などが認められることがあります。本症例ではK7.2mEq/Lと異常高値を示しており、早急に補正が必要となっています。ちなみに、心電図上ではT波の増高、QRS幅の増大、P‐R間隔の延長がみられます。治療に対しては、以下のミニテストを参考にしてください。

ミニテスト Paer06
次の高カリウム血症に対する治療のうち、最も即効性のあるものは?
1)グルコン酸カルシウム 2)インスリン+グルコース液 3)重炭酸ナトリウム 4)イオン交換樹脂膜の経口投与または注腸 5)透析療法
【答え】1)グルコン酸カルシウム
【解説】
1)グルコン酸カルシウムは、心臓の膜を安定させるにより2~3分で効果をもたらす。 
2)インスリン+グルコース液、3)重炭酸ナトリウムは、血中から細胞内へKを移動させ、10~20分で効果をもたらす。
4)イオン交換樹脂膜の経口投与または注腸、5)透析療法は、カリウムを体外へ排出するのに非常に効果的である反面、時間がかかる。

症例02:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part01

症例02:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part02

症例02:徐々にむくんできたため、来院した56歳男性 Part03


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