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呼吸困難のため家族に付き添われて来院した72歳男性

2007.09.21 (Fri)
今日の一問必修の基本的事項11「主要疾患・外傷・症候群」
 72歳の男性。呼吸困難のため家族に付き添われて来院した。
現病歴:5年前から肺気腫による慢性呼吸不全で治療中であった。3日前から感冒様症状が出現し,その後呼吸困難が増強し階段の昇降が困難になった。
既往歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。体温37.8℃。呼吸数18/分。脈拍108/分,整。血圧110/80mmHg。下腿浮腫と頸静脈怒張とを認める。
検査所見:尿所見:蛋白1+,糖(-)。血液所見:赤血球450万,Hb 15.2g/dl,Ht 43%,白血球10200。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl,尿素窒素25mg/dl,クレアチニン0.8mg/dl,AST 36 IU/l ,ALT 32 IU/l,LDH 364 IU/l(基準176~353),Na 140mEq/l,K 4.0mEq/l,Cl 102mEq/l。動脈血ガス分析(自発呼吸,room air):pH 7.32,PaO2 54Torr,PaCO2 48Torr。心電図で右室負荷所見を認める。
 まず投与すべきものとして適切でないのはどれか。
a 酸素
b 生理食塩液
c 強心薬
d 利尿薬
e 気管支拡張薬



問題:97F40

正解:b 正解率:73.7%

解説:
①5年前から肺気腫(COPDの既往)
②感冒様症状により呼吸困難増強(上気道感染によるCOPDの増悪)
③PaO2 54Torr,PaCO2 48Torr(低酸素血症だが、CO2ナルコーシスに至っていない)
④下腿浮腫、頸静脈怒張、心電図で右室負荷所見(右心不全を示唆)

以上より、COPDによって二次性の右心不全をきたしている症例であると考えられる。

○a 呼吸困難があり、低酸素血症(PaO2 54Torr)がみられるため、酸素投与が必要となる。PaCO2 48Torrであり、まだCO2ナルコーシスに至っていないが慎重に投与する必要がある。

×b 心不全の急性増悪に対して、輸液は鬱血をさらに増悪させるため、一般的に禁忌となる。むしろ水分や塩分の制限が必要となる。

○c 強心薬の投与は心拍出力の増大をもたらすため、心不全の症状軽減に用いられる。

○d 利尿薬によって前負荷を軽減することができる。心不全の中心的な治療法である。

○e 気管支拡張薬はCOPDによる呼吸苦の改善に有効となる。本例ではCOPDによる二次性の右心不全をきたしているため、COPDそのものに対する治療も必要となる。

【補足】
本問は、F39で患者に見られる所見を問うている。
この患者にみられるのはどれか。
a 脾腫
b 肝腫大
c 腎腫大
d 腹部膨隆
e Blumberg徴候



問題:97F40

正解:b

解説:
×a 脾腫は主に門脈圧の亢進によって起こるが、それを示唆するような徴候は認めていない。

○b 本例では右心不全を呈しており、下大静脈のうっ滞による肝腫大をきたしていると考えられる。

×c 本例では腎機能は保たれており、腎腫大をきたしているとは考えにくい。

×d 本症例では腹水をきたすような病態は考えにくく、腹部膨隆をきたすような合併症は否定的である。右心不全による中心静脈の上昇により、胸水をきたすことはあると思われる。

×e Blumberg徴候は腹膜刺激症状であり、本症例ではみられない。


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