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吐血のため救急車で来院した65歳男性

2007.11.15 (Thu)
今日の一問必修の基本的事項11「主要疾患・外傷・症候群」
 65歳の男性。吐血のため救急車で来院した。
現病歴:2日前から風邪気味で感冒薬を服用していた。今朝,突然嘔気があり洗面器一杯の新鮮血液を吐血した。
既往歴:25年前に胃切除術の際に輸血を受けた。数年前から肝硬変を指摘されていた。
現症:身長165cm,体重61kg。体温36.6℃。脈拍120/分,微弱,整。血圧72/40mmHg。皮膚は蒼白で頸部にクモ状血管腫がみられる。眼瞼結膜に著明な貧血を認め,眼球結膜に黄疸を認める。胸部所見では心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軽度膨隆し,肝・脾は触知しない。
 緊急検査を行って次の結果を得た。尿所見:蛋白(-),糖(-),ウロビリノゲン(±),ビリルビン(+)。血液所見:赤血球210万,Hb 6.0g/dl,Ht 20%,白血球2800,血小板8万。心電図は洞性頻脈を示している。
 適切な治療はどれか。
a エピネフリン投与
b ニトログリセリン投与
c 塩酸モルヒネ投与
d ヘパリン投与
e 輸血



問題:96F42(96F41と連問)

正解:e 正解率:76.8%
aが14.5%の誤答率だった。

解説:
①感冒薬(胃潰瘍を起こす可能性あり)
②吐血(食道静脈瘤破裂、残胃ほかの消化管出血)
③新鮮血液(食道静脈瘤の可能性)
④脈拍120/min、血圧72/40mmHg、貧血著明(出血性ショック)
⑤腹部膨瘤(腹水)
⑥Hb6.0g/dl、Ht20%(貧血高度)
⑦洞性頻脈(循環血液量減少)


×a 血圧低下に対して、エピネフリン投与は全くの誤りではないが、ドパミンなどの方が先となる。

×b ニトログリセリンのように、血管拡張薬は低血圧の病態を悪化させるため、禁忌である。心筋虚血の徴候もなく、また血管拡張療法を行うにしても、循環血液量の補充を行ってからである。

×c 痛みもなく、塩酸モルヒネ投与を行う理由がない。

×d 出血時にヘパリン投与は、出血を悪化させてしまう。血小板は少ないが、この時点でDICのサイクルに入っているとも考えられない。

○e 高度貧血に陥っており、輸血が必要となる。

【補足】
直ちに行うべきことはどれか。
a 静脈路確保
b 気道確保
c 胃管挿入
d 上部消化管造影
e 腹腔穿刺



問題:96E41

答え:a

解説:上部消化管出血による吐血であり、血圧が72/40mmHgと低下している。出血性ショックへの対応が必要である。

○a 出血性ショックであることから、輸液、輸血をする必要がある。

×b 呼吸音に異常を認めず、呼吸困難も訴えていないため必要ない。意識レベルの低下があれば、これが第一選択となる。

×c 食道静脈瘤の危険が大きく、胃管挿入は禁忌となる。

×d まずは、食道静脈瘤破裂の存在を先に考え、大量出血による出血性ショックに対する処置を優先すべきである。

×e 腹部膨瘤、出血性ショックはあるが、大量吐血があるため腹腔内出血というよりは、食道静脈瘤破裂を考えるべきである。腹腔穿刺は、肝硬変による腹水貯留に有用であるが、直ちに行う必要はない。


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