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分娩について

2008.01.09 (Wed)
分娩開始は、日本産科婦人科学会の規約で「陣痛周期10分以内、あるいは陣痛頻度1時間6回以上の陣痛開始時期をもって臨床的な分娩開始時期とする」と定められている。

全分娩経過は、第1期~第3期、ときに第4期までに分けられる。

①第1期(開口期):分娩開始から子宮口全開大に至るまでで、破水はこの時期の末期あるいは経過中に起こる。
②第2期(娩出期):子宮口が全開大してから児娩出に至るまでをいう。
③第3期(後産期):胎児娩出から胎盤娩出までをいう。
④第4期:胎盤娩出後1~2時間を指し、後出血の測定、急性変化の発見に役立つ。


全分娩所要時間(第1~3期)は初産婦約15時間、経産婦約8時間であるが、初産婦で30時間、経産婦で15時間以上経過しても児娩出とならないものは遷延分娩とされており、分娩進行上、何らかの異常の存在が推定される。

以下に、胎向が第1頭位(母体の左側に胎児の背中が向いている)で正常分娩の経過を示す。

第1期(開口期):分娩開始から子宮口全開大に至るまで

陣痛の発来とともに、児頭は第1回旋を行う。第1回旋では、顎が胸につき、児頭の後頭部が先進部となる(この時点でこの分娩形式は第1後頭位といわれる)。児頭は、小斜径周囲で産道を通過する。児頭より前方に流出した羊水は前羊水を形成し、しだいに子宮口を開大させ子宮頸部を薄くさせる。

次に、第2回旋であるが、まず骨盤入り口部では児頭の矢状縫合は横径に一致する(横を向いている状態。第1前方後頭位では、大泉門が妊婦の右側にくる)。児頭が回旋するにつれて、先進部(頭の後ろ)は、前方に向かって回旋する。骨盤闊部(骨盤入口部につづく骨産道のなかで最も広い部分)では、矢状縫合は骨盤の斜径に一致する。骨盤出口部では矢状縫合は縦径に一致する(後頭が妊婦の前方にくる)。子宮開大が10cmになると全開大であり、この時期に近く、児頭の前方にあった前羊水を包む卵膜が自然に破裂する(破水)。

第2期(娩出期):子宮口が全開大してから児娩出に至るまで
 
子宮収縮による陣痛と産婦の腹圧で児頭は骨盤腔を下降し、ついに陣痛発作時には児頭が陰裂から露出し、間欠時にはまた陰裂から腟内に戻るようになる。この状態を、排臨という。続いて、児頭はもはや陣痛間欠時でも陰裂から露出したままになる。これを発露という。この時点では、児頭の最大平面は骨盤出口に位置し、児頭先進部の下降度はSP+5cmとなる。

この時期に続いて、児頭は母体恥骨結合に支えられ、これを支点として、顎が胸から離れ、児顔面は母体の後陰唇連合、会陰を滑脱し、顔面が仰向くようになり、児頭は娩出される(第3回旋)。すなわち、児頭が骨盤部を通過するときは、児は反屈運動する。児頭の第3回旋時には、肩甲は骨盤入り口部にある。

これに続き、骨盤内を児の肩甲が回旋し下降するために、児の顔面は自然に第1回旋前と同じ方向に向かい母体の右側を向くようになる。これが第4回旋である。第4回旋は児頭娩出後に起こる。児頭の第4回旋は、肩甲の分娩機転によって起こる。続いて児の肩甲、上肢、体幹、下肢が娩出される。

ここまでの回旋のポイントをまとめると、以下のようになる。

第1回旋:屈運動(後頭側である小泉門が先進する)
第2回旋:先進部を前方として、回旋する(最終的に、母体の前方に後頭がくる)。
第3回旋:反屈運動(顔面が仰向くようになる)
第4回旋:肩甲分娩を機転として起こる。


第3期(後産期):胎児娩出から胎盤娩出まで
児娩出に続いてほぼ15分間に胎盤が娩出され、分娩が終了する。
 
第4期:第3期終了後1~2時間をさし、分娩後の母体の急変などの観察を行う。

【例題01】
28歳の1回経産婦。今回の妊娠経過は異常なく、妊娠38週6日に破水のため入院した。陣痛は正常で、児心音も異常はない。内診で大泉門が先進し、母体の左前方に触れ、stationはSp+2である。そのまま経過を観察した。正しいのはどれか。
a 低在横定位になりやすい。
b 第3回旋は容易である。
c 骨重積は起こりにくい。
d 児頭は短頭蓋となる。
e 産瘤は左後頭部に生じる。



問題:80E26

答え:d

解説:「内診で大泉門が先進し、母体の左前方に触れ、stationはSp+2である」ということから、第2前方前頭位であり第1回旋の異常が考えられる(正常ならば、第1回旋で顎が胸につき、児頭の後頭部が先進部となる)。

×a 低在横定位とは、第2回旋が起こらずに児頭が骨盤底にまで達し、矢状縫合が骨盤横径に一致し分娩の進行が停止した状態である。扁平骨盤などで起こりやすい。

×b 大泉門先進では、第3回旋は容易でない。

×c 最小面積部で通過しないため、骨重積は起こりやすい。

○d 正常では児頭は長頭蓋となるが、大泉門先進では前後径周囲で通過するため、短頭蓋となる。

×e 産瘤は左頭部に生じる。

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