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汎血球減少をきたす血液疾患の鑑別

2008.01.11 (Fri)
汎血球減少をきたす疾患として、再生不良性貧血、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)などがある。

再生不良性貧血

・再生不良性貧血では、リンパ節腫脹はない。
・総白血球数は減少するが、リンパ球が圧倒的優位となる。
・鑑別の決め手は骨髄所見であり、低形成となる。


発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)

・ショ糖溶血試験,sugar-water試験陽性
・Ham 試験陽性
・表面抗原解析 白血球にCD59、DAF(decay-accelerating factor)などのGPIアンカー蛋白の欠損
・溶血性貧血であるため、正球性正色素性貧血を呈する。
・PNHには、洗浄赤血球を輸血する。全血輸血は禁忌(先天性に血漿中の補体に対して過敏性を示しているので、全血輸血により溶血をきたす)
・骨髄所見として貧血を代償するために骨髄赤芽球の増加がみられる。


急性白血病

・リンパ節腫脹のある汎血球減少をみたら、急性白血病を疑う(特にALL)。
・骨髄における芽球30%以上


骨髄異形成症候群(MDS)

・中、高齢者に多い(50歳以上が7割であり、高齢者の汎血球減少の原因として多い)
・骨髄所見では、正ないし過形成像を呈し、巨赤芽球様変化、鉄染色で鉄顆粒が核周囲を取り囲むように配列する環状鉄芽球、psudo-pelger核異常の好中球
・末梢血で巨大血小板が出現



【例題01】
65歳の男性。3日前から続く鼻出血のために来院した。3週前から全身倦怠感を自覚している。皮膚は蒼白で紫斑と点状出血とを認める。血液所見:赤血球210万、Hb7.2g/dl、Ht22%、網赤血球1‰、白血球1,900(桿状核好中球1%、分核好中球18%、好酸球1%、単球2%、リンパ球78%)、血小板0.8万。血清生化学所見:総蛋白8.1g/dl、アルブミン4.2g/dl、クレアチニン0.8mg/dl、AST32単位(基準40以下)、ALT26単位(基準35以下)。骨髄生検H-E染色標本では、脂肪髄の所見である。
まず行う治療はどれか。
(1) ガンマグロブリン大量投与
(2) シクロスポリン投与
(3) 抗胸腺細胞グロブリン〈ATG〉投与
(4) 多剤併用化学療法
(5) 同種骨髄移植
a (1)(2)
b (1)(5)
c (2)(3)
d (3)(4)
e (4)(5)


問題:97A33

答え: c (2)(3)

解説:
①「赤血球210万、白血球1,900(桿状核好中球1%、分核好中球18%、好酸球1%、単球2%、リンパ球78%)、血小板0.8万」と汎血球減少を示しており、リンパ球が78%と圧倒的優位である。
②骨髄所見では、低形成を示している。
これらから、再生不良性貧血と考えられる。

最近では、ATG、シクロスポリンなどの免疫抑制薬、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を組み合わせた治療が一般的で、骨髄移植に匹敵する治療成績が期待できるという。

【例題02】
44歳の女性。 2か月前から朝の尿の色が褐色であることに気付き、また息切れと動悸とが強くなり来院した。顔色蒼白で、亜黄疸色である。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球1/1視野、白血球1/1~2視野。血液所見:赤血球255万、Hb7.0g/dl、Ht26.4%、網赤血球200‰、白血球2,900、血小板9万。血清生化学所見:総ビリルビン3.0mg/dl、GOT80単位(基準40以下)、GPT30単位(基準35以下)、LDH2,500単位(基準176~353)。梅毒血清反応陰性。シュガーウオーターテスト陽性。 予想される検査所見はどれか。
(1) 骨髄中赤芽球増加
(2) 尿中へモジデリン陽性
(3) 血中ハプトグロビン低値
(4) 好中球アルカリホスファターゼ指数高値
(5) 赤血球アセチルコリンエステラーゼ高値

a (1)(2)(3)
b (1)(2)(5)
c (1)(4)(5)
d (2)(3)(4)
e (3)(4)(5)


問題:92F23

答え: a (1)(2)(3)

解説:
①朝の褐色尿
②斑血球減少
③総ビリルビン3.0mg/dl、GOT80単位、LDH2,500単位、網赤血球200‰(溶血の所見)
④シュガーウォーターテスト陽性
これらから、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH) が考えられる。

○(1) 溶血のため、骨髄中赤芽球増加がみられる。

○(2) 血管内溶血により、尿中へモジデリン陽性がみられる。

○(3) 溶血により、ヘモグロビンの多くは、血中ハプトグロビンと結びつくため、ハプトグロビンは消費されるため、低値となる。

×(4) 好中球アルカリホスファターゼ指数(NAP)は低値を示す。

×(5) 赤血球アセチルコリンエステラーゼは、低値を示す。

【例題03】
74歳の男性。発熱、咳および易疲労感のため来院した。3か月前から疲れやすさを自覚していたが、4日前から38℃台の発熱と咳とが出現した。意識は清明。体温38.6℃。脈拍96/分、整。血圧138/82mmHg。眼瞼結膜は蒼白。右下肺野にcoarse cracklesを聴取する。
血液所見:赤血球210万、Hb7.2g/dl、Ht22%、網赤血球6‰、白血球3,000(桿状核好中球3%、分葉核好中球46%、好酸球2%、好塩基球3%、単球12%、リンパ球34%)、血小板8.2万。
血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素22mg/dl、クレアチニン1.6mg/dl、尿酸8.3mg/d、総コレステロール126mg/dl、総ビリルビン0.8mg/dl、AST40単位、ALT35単位、LDH520単位(基準176~353)、Na140mEq/l、K4.2mEq/l、Fe260μg/dl、フェリチン340ng/ml(基準20~120)。CRP3.4mg/dl。
骨髄血塗沫鉄染色標本では、環状鉄芽球がみられる。この疾患について正しいのはどれか。
(1) 白血球機能異常はない。
(2) 無効造血がみられる。
(3) 2相性赤血球がみられる。
(4) 白血病に移行することはない。
(5) Philadelphia染色体がみられる。
a (1)(2)
b (1)(5)
c (2)(3)
d (3)(4)
e (4)(5)


問題:99A33

答え:c (2)(3)

解説:
①74歳男性
②斑血球減少(赤血球210万、白血球3,000、血小板8.2万)
③Fe260μg フェリチン300ng/m(→鉄利用低下がある)  
④AST、ALT正常、LDH高値(→潜血、無効造血など)

これらから、MDSであると考えられる。

×(1)骨髄異形成症候群では白血球機能異常がしばしばみられる。本例は肺炎を合併していると思われる。これも白血球機能異常による易感染性のためと考えられる。

○(2)骨髄中には血球のもととなる細胞(赤芽球や骨髄球系の幼弱な細胞)が多数みられるが、分化の障害のため末梢血では血球減少がみられる。

○(3)大球性赤血球と低色素性小球性赤血塊の2種類の赤血球が混在する現象。骨髄異形成症候群でもみられるが、鉄欠乏性貧血でもみられることがある。

×(4)骨髄異形成症候群の患者の1部は、白血病に移行する。

×(5)Philadelphia染色体は,慢性骨髄性白血病くCML〉や、一部の急性リンパ性白血病〈ALL〉でみられる染色体異常である。骨髄異形成症候群に特徴的な染色体異常ではない。

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