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骨髄増殖性疾患の鑑別

2008.01.12 (Sat)
骨髄増殖性疾患とは、白血球、赤血球、血小板などの血液細胞を作る幹細胞の一部が増殖して多段階のステップを経て腫瘍化する疾患の総称である。慢性骨髄性白血病(CML)、真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、特発性骨髄線維症(MF)の4疾患を含む。

これらは、いずれもさまざまな程度に3血球系細胞の増殖傾向を認め、3血球系ともに異常クローンに属すると考えられている。ダメシェク(Dameshek W)によって、これらの4疾患をまとめる概念として提唱された(急性型と慢性型に分けられていたが、急性型は急性白血病の病型として扱われており、本用語は慢性型にしか使われなくなっている)。

中高年に多く、骨髄には1~3系統の造血細胞の増殖があり、経過は慢性で相互に移行する特徴があり、いずれ白血病に変化する可能性がある(慢性骨髄性白血病の他3疾患は芽球化の頻度は高くない)。それぞれの特徴としては、以下のようなものがある。
  CML PV MF ET
赤血球数 正常~軽度減少 増加 減少 正常
白血球数 高度増加 軽度増加 軽度増加 時に増加
血小板数 正常~増加 軽度増加 増加~減少 高度増加
塗抹標本 芽球~好中球 時に幼弱顆粒球 涙滴赤血球 血小板形態異常
NAPスコア 低下 上昇 上昇(一部低下) 上昇(一部低下)
Ph染色体 あり なし なし なし
骨髄 M/E比高値 過形成 線維化 巨核芽球増
脾腫 軽度~中等度 軽度~中等度 高度 軽度
他のポイントとして、以下のようなものがある。
・CML、PV、MFは巨脾をきたしうる。
・CMLでは、好中球の増殖が主体だが、好塩基球・好酸球を伴う。
・CMLでは、白血球の破壊により、VitB12が5~6倍に増加することがある。

【例題01】
39歳の男性。昨年の定期健康診断で軽度の白血球増加を指摘されたが、自覚症状がないため放置した。今年の健診で白血球がさらに増加していたため、精査を希望して来院した。リンパ節腫大と肝脾腫とは認めない。血液所見:赤血球463万、Hb13.8g/dl、Ht43.4%、網赤血球17‰、白血球29,900(前骨髄球1%、骨髄球22%、後骨髄球7%、桿状核好中球8%、分葉核好中球43%、好酸球2%、好塩基球4%、単球4%、リンパ球9%)、血小板38万。血清生化学所見:GOT26単位(基準40以下)、GPT21単位(基準35以下)、LDH1,403単位(基準176~353)。CRP0.2mg/dl(基準0.3以下)。 診断に有用な検査はどれか。
(1) 好中球アルカリホスファターゼ指数
(2) 血清ビタミンB12濃度
(3) 血清免疫電気泳動
(4) リンパ球表面抗原検査
(5) 骨髄細胞の染色体分析

a (1)(2)(3)
b (1)(2)(5)
c (1)(4)(5)
d (2)(3)(4)
e (3)(4)(5)

問題:93F25

答え:b (1)(2)(5)

解説:
白血球29,900(前骨髄球1%、骨髄球22%、後骨髄球7%、桿状核好中球8%、分葉核好中球43%、好酸球2%、好塩基球4%、単球4%、リンパ球9%)であり、前骨髄球、骨髄球、後骨髄球など成熟した白血球が認められる。この様に各成熟段階の白血球が存在している場合、CMLや類白血病反応、MFなどを考慮する。

(1) 好中球アルカリホスファターゼ指数→CMLでは低値、一方、類白血病反応あるいはMFでは高値となる。
(2) 血清ビタミンB12濃度→CMLでは、白血球の破壊により、白血球内の血清ビタミンB12が逸脱して高値となりやすい。
(5) 骨髄細胞の染色体分析→Ph染色体が証明されれば、CMLと考えられる。

【例題02】
56歳の男性。倦怠感と腹部膨満感とを訴えて来院した。6か月前から左上腹部の重圧態を自覚し、少量の摂食で満腹となるようになった。顔色は不良で、るいそうがある。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を5cm触知し、いずれも弾性硬で圧痛はない。血液所見:赤血球320万、Hb 9.5 g/dl、Ht31%、網赤血球13‰、白血球23,000(前骨髄球0.5%、好中性骨髄球3.0%、好中性後骨髄球3.5%、桿状核好中球13.0%、分葉核好中球55.0%、好酸球2.0%、好塩基球3.0%、単球4.0%、リンパ球16.0%、赤芽球5個/100白血球)、血小板57万。好中球アルカリホスファターゼスコア320(基準120~320)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本では、変形した赤血球や類滴赤血球などがみられる。
最も考えられるのはどれか。
a 骨髄異形成症候群
b 慢性骨髄性白血病
c 本態性血小板血症
d 原発性骨髄線維症
e hairy cell leukemia


問題:95G33

答え: d 原発性骨髄線維症

解説:
①肝脾を触知する。
②貧血
③白血球増加、血小板増加(肝脾腫と合わせて骨髄増殖性疾患を考える)
④NAPスコア正常

上記より、b 慢性骨髄性白血病、c 本態性血小板血症、d 原発性骨髄線維症が鑑別として挙がる。 ここから、NAPスコア正常よりCMLは否定的であり、貧血がみられる点からPVは否定的である。故に、d 原発性骨髄線維症が正解となる(末梢血塗抹May-Giemsa染色標本から、一発で答えは分かるが)。

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