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右下腹部痛を主訴に来院した20歳男性

2008.01.22 (Tue)
今日の一問必修の基本的事項11「主要疾患・外傷・症候群」
 20歳の男性。右下腹部痛を主訴に夕方来院した。
現病歴:朝から心窩部痛と悪心とがあった。市販の胃腸薬を内服したが軽快せず,午後になって痛みが右下腹部に限局してきた。朝から排便はない。
既往歴・家族歴:特記すべきことはない。
現症:意識は清明。身長171cm,体重65kg。体温37.8℃。脈拍76/分,整。血圧102/60mmHg。腹部は平坦で,腸雑音は減弱している。肝・脾は触知しない。右下腹部に圧痛を認め,Blumberg徴候が陽性である。
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-),ウロビリノゲン(±),ビリルビン(-),潜血(-)。血液所見:赤血球510万,Hb 17.0g/dl,Ht 48%,白血球18000(桿状核好中球20%,分葉核好中球49%,好酸球1%,単球2%,リンパ球28%),血小板30万。プロトロンビン時間12秒(基準10~14)。血清生化学所見:総蛋白7.5g/dl,尿素窒素11mg/dl,クレアチニン1.0mg/dl,AST 20 IU/l,ALT 18 IU/l,LDH 230 IU/l(基準176~353),アミラーゼ150 IU/l(基準37~160),CK 18 IU/l(基準10~40)。CRP 8.3mg/dl。
 最も考えられるのはどれか。
a 急性胃炎
b 急性虫垂炎
c 腸閉塞
d 急性膵炎
e 尿路結石



問題:99C49(99C50と連問)

正解:b 正解率:95.8%

解説:

①20歳(→良性疾患である頻度が高い)
②男性(→婦人科疾患の除外)
③朝から窩部痛と悪心
④夕方から右下腹部痛・圧痛
④Blumberg徴候(→限局性の腹膜刺激症状)
⑤白血球18,000,梓状核好中球20%(→細菌感染症)
⑥CRP8.3mg/dl(→炎症全身化)


急性の経過、腹痛が心窩部から右下腹部に移動したという病歴、白血球分画の結果(好中球核左方移動)、CRP上昇から,細菌感染性の右下腹部腸管急性炎症を考える。頻度と部位より急性虫垂炎が最も考えやすい。

×a 通常、右下腹部痛、Blumberg徴候を呈すことはない.市販の胃腸薬に反応がない点からも考えにくい。

○b 上記より、急性虫垂炎が最も考えやすい。

×C 腸閉塞の3徴候は、腹痛、嘔吐、腹部膨満であるが、本例では嘔吐はなく腹部は平坦で軟であるので考えにくい。

×d 通常、右下腹部痛は生じない。後腹膜臓器であるため、腹膜刺激症状(Blumberg徴候)も考えにくい。

×e 右尿管結石の場合は、虫垂炎と類似した症状を取ることがあり鑑別が重要である。最も有用な所見は尿潜血である。本症例では陰性なので考えにくい。

【補足】
翌日まで抗菌薬を投与したが改善がみられなかった。次に行うべき治療はどれか。
a 制酸薬投与
b 抗コリン薬投与
c 浣腸
d イレウス管挿入
e 手術


問題:99C50

答え:e

解説
×a 制酸薬は急性胃炎の際は有効であるが、虫垂炎には有効でない。

×b 抗コリン薬は鎮痙作用を有し腸炎痺痛時に有用であるが、腹膜刺激による痺痛には無効であり、かつ原疾患自体の治療効果はない。

×c 急性虫垂炎時の浣腸は、腸管内圧を上昇させ、穿孔を誘発する可能性があり、むしろ不適当である。

×d 急性虫垂炎時の腹膜刺激により麻痺性イレウスが生じることがあるが、本症例では腹部膨満はみられないので、イレウス管の効果は期待できない。たとえ麻痺性イレウスが生じたとしても二次的な病態であるため,イレウス管ではない根本的な治療が必要である。

○e 抗菌薬に抵抗性の虫垂炎では腹膜炎の拡大が予想され、危険度が経時的に増大するため緊急手術の適応となる。

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