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胎児機能不全 non-reassuring fetal status

2008.02.03 (Sun)
胎児機能不全non-reassuring fetal statusは、臨床的には「胎児の安全を確信していない状態」などと解釈される。以前は、胎児ジストレス(fetal distress)あるいは胎児仮死という用語が用いられてきたが、2006年に日本産婦人科学会が、臨床診断として胎児の状態を総合的に判断した病名として、「胎児機能不全」という用語を提唱した。

病態としては、胎児が子宮内において、呼吸ならびに循環機能が障害された状態である。生理学的には、胎児が低酸素・虚血による代謝性あるいは混合性のアシドーシスに陥っている状態と定義される。

検査所見としては、以下のようなものが考えられる。

1)胎児心拍数図〔fetal heart rate(FHR)monitoring〕
胎児が低酸素症,アシドーシスに陥っていると考えられる状態を示すパターンは以下のものと考えられている。

①頻発する遅発一過性徐脈(子宮収縮の50%以上に出現)
②高度変動一過性徐脈
③頻発する遷延一過性徐脈
④持続する徐脈
⑤sinusoidal pattern

注)sinusoidal pattern(洞様パターン):胎児心拍数基線が正弦波様に規則的になったパターンのこと。

ちなみに、胎児が元気な状態reassuring status と判断できるFHRは以下のとおりである。

①心拍数基線:110-160bpm
②心拍数基線細変動:6-25bpm
③一過性頻脈を認める
④一過性徐脈あるいは遷延性徐脈を認めない

2)Biophysical profile score(BPS)
下記の表で、8点以上で胎児は良好な状態、6点以下で早期遂娩が必要と判断する。
  正常(2点) 異常(0点)
NST 一過性頻脈が20~40分間に2回以上 一過性頻脈が20~40分間に0または1回
胎児呼吸様運動 30分間の観察で30秒以上持続する呼吸様運動が1回以上 30分間の観察で呼吸様運動が30秒未満
胎動 30分間の観察で3回以上の、連続していない、体幹または四肢の動き 30分間の観察で2回以下の胎動
胎児筋緊張 30分間の観察で、1回以上の四肢の伸展に引き続く屈曲、または手掌を把握する、または開く動き 上記の動きを認めない
羊水量 羊水ポケット>2cm,またはAFI≧5 羊水ポケット≦2cm,またはAFI<5

3)臍帯動脈血流波形パルスドプラ法
臍帯動脈拡張期血流の途絶もしくは逆流を認める場合、胎児は危険な状態であると考えられる。また、慢性的な低酸素症の状態では、臍帯動脈の血管抵抗の上昇とともに中大脳動脈の血管抵抗の低下(血流再配分)を認める場合がある。

・分娩に関して
一般的には母体への酸素投与を行い、仰臥位低血圧症候群や臍帯因子が疑われれば体位変換による改善を試みる。破水に伴う羊水過少があれば、羊水注入が有効なことがある。

回復が見込めなければ、急速遂娩を行う。経腟が可能であれば鉗子もしくは吸引分娩を試みるが、経腟に時間を要するもしくは困難な場合には帝王切開術が適応となる。

・胎児に関して
在胎週数や児推定体重にもよるが、基本的にはNICUを有する施設への搬送が望ましい。羊水検査などにより胎児の肺成熟が確認されれば分娩の方向、肺成熟を認めない場合は、母体合併症や胎内環境を総合的に判断し妊娠継続か分娩かを決定する。

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