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妊娠高血圧症候群

2008.02.03 (Sun)
妊娠高血圧症候群(pregnancy induced hypertension:PIH)とは、「妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合のいずれかで、かつこれらの症状が偶発合併症によらないもの」と定義される。

病因・病態はいまだ不明であるが、絨毛の脱落膜への浸潤不全(胎盤形成不全)に伴い、子宮胎盤循環不全および母体循環不全に陥ると考えられている。

発症時期により早発型(妊娠32週未満発症)と遅発型(妊娠32週以降発症)、症状により重症と軽症に分類される。頻度は全妊婦の4~8%であり、重症は全妊婦の1~2%程度である。

病型分類として、

①高血圧と蛋白尿が出現する妊娠高血圧腎症(preeclampsia)
②高血圧だけが出現する妊娠高血圧(gestational hypertension)
③基礎疾患として蛋白尿や高血圧があり、妊娠によってそれらが増悪した加重型妊娠高血圧腎症(superimposed preeclampsia)
④これら3病型のいずれかにけいれん発作を伴う子癇(eclampsia)

の4つの病型がある。

診断のための検査所見は、以下のようになっている。
  検査値
血圧 収縮期140mmHg以上,拡張期90mmHg以上を軽症
収縮期160mmHg以上,拡張期110mmHg以上を重症
尿蛋白 24時間尿で300mg/日以上で2g/日未満を軽症
24時間尿で2g/日以上を重症
クレアチニン 1.5mg/dL以上
BUN 20mg/dL以上
血清蛋白 5g/dL以下
尿酸 5.5mg/dL以上
尿中エストリオール 15mg/日以下(妊娠37~41週)

本症の母児の予後は、重症化すると母体には高血圧脳症、子癇、HELLP症候群〔溶血(hemolysis),肝酵素の上昇(elevated liver enzyme),血小板減少(low platelet count)を伴うもの〕、肺水腫、常位胎盤早期剥離、DIC、急性腎不全などを合併し、母体の生命が危険にさらされる危険性がある。

故に、妊娠高血圧症候群の経過は高血圧、蛋白尿の程度などを中心にモニターする。腎機能は定期的に検査し、蛋白の喪失を補充する。

特に、血小板数の低下、ヘマトクリット値の上昇、FDPの上昇、ATⅢの低下があればDICを疑って精査と治療を行う。さらに、母体の観察とともに子宮内の胎児の発育遅延や仮死の有無も超音波画像診断やノンストレステストにより検査する必要がある。

・治療方針
基本は早期発見、生活指導(安静,ストレスを避ける)、食事指導(BMI別のエネルギー摂取制限と塩分7~8g/日)、薬物療法(降圧薬,鎮静鎮痙薬)などを行う。

薬物療法は、メチルドパ(アルドメット)、塩酸ヒドララジン(アプレゾリン)を第一選択とする。降圧の目標は160~140/110~90mmHgとし、急激な降圧を避けることが重要である。

重症であれば、母児に重篤な障害が発生する前に妊娠の終了を行う。HELLP症候群に対しては抗凝固療法、抗DIC療法を行いつつ、可及的速やかな遂娩を行うが、多くは帝王切開となる。

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