医学生/研修医向け 基礎医学 内科学 ゴロ合わせ 内科認定医試験
診療データ TNM分類一覧 病期(ステージ)一覧 抗菌薬 診断基準・ガイドライン一覧

当サイトのページランキング

Crohn病と潰瘍性大腸炎

2008.02.20 (Wed)
  Crohn病 潰瘍性大腸炎
好発部位 全消化管(特に回盲部) 直腸、S状結腸
主症状 腹痛、下痢、発熱 下血、血便
病理 skip lesion
瘻孔の合併 +(10%程度)
肛門病変 多い
粘膜 cobblestone様 偽ポリポーシス
炎症の深さ 全層 粘膜のみ
肉芽 +(60~70%)
陰窩膿瘍 少ない 多い
・Crohn病
Crohn病は、主として若い成人(10~40歳代に好発し、初発年齢は20歳代が最も多い。男女差はない)にみられ、線維化や潰瘍を伴う肉芽腫炎症性病変からなり、消化管のどの部位からも起こりうる。

臨床像は病変の部位や範囲による。発熱、栄養障害、貧血、関節炎、虹彩炎、肝障害などの全身性合併症が起こりうる疾患である。

主な症状は腹痛、下痢、発熱、体重減少である。Crohn病の特徴は、これらの症状が慢性に経過し、徐々に進行する点にある。

一般に、Crohn病の腹痛は下腹部痛で軽い。下痢は、小腸に広範な病変がある場合には高度であり、吸収障害に伴う体重減少を生じる。Crohn病では便潜血反応は陽性となるが、潰瘍性大腸炎と比較して肉眼的血便は少ない。肛門病変は、大腸病変のある症例に高頻度にみられ、主な病変は裂肛、肛門潰瘍、痔瘻、肛門周囲膿瘍である。

血液検査所見としては、約 8~9割に貧血を認め、出血やビタミンB12の吸収障害などにより起こる。白血球数(WBC)、赤沈、CRPは炎症の活動性の指標となり、CRPは約85%で上昇する。吸収不良により栄養障害を認める。

主に大腸病変に対して内視鏡検査を行い、cobblestone appearance(敷石像)、病変の非連続性などがみられる。初期にはアフタ様または小円形の小潰瘍、縦走する潰瘍を認めるが、潰瘍周囲粘膜に炎症所見を欠く、といった特徴がある。

診断基準としては、以下のようなものがある。

(1) 主要所見
① 縦走潰瘍
② 敷石像
③ 非乾酪性類上皮細胞肉芽腫
(2) 副所見
④ 縦列する不整形潰瘍又はアフタ
⑤ 上部消化管と下部消化管の両者に認められる不整形潰瘍又はアフタ
確診例1 主要所見の①又は②を有するもの。
確診例2 主要所見の③と副所見のいずれか1 つを有するもの。
疑診例1 副所見のいずれかを有するもの。
疑診例2 主要所見の③のみを有するもの。
疑診例3 主要所見の①又は②を有するが虚血性大腸炎,潰瘍性大腸炎と鑑別ができな いもの。


また、Crohn病では回腸末端を含む下部回腸に病変が多いが、内視鏡では小腸の観察は不十分であり、X線検査は病変部位やその程度の診断に優れる。腸間膜側の縦走潰瘍、cobblestone appearance、非連続性病変の存在、非対称性の狭窄、瘻孔を示す深いとげ状のバリウム像などがみられる。

生検では、サルコイド様肉芽腫の存在、病変の非連続性の証明を行う。

治療としては、潰瘍性大腸炎と同じく、基本的には対症療法で、栄養療法と薬物療法による内科的治療が中心である。薬物療法では、副腎皮質ステロイド、サラゾスルファピリジンが中心である。サラゾスルファピリジンは大腸型には有効であるが、小腸型では無効でステロイドがより有効といわれている。メサラジンはいずれにも有効。

・潰瘍性大腸炎
主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異的炎症である。10~30歳代の若年者に多く発症し、男女差はない。

下痢、血便、腹痛が潰瘍性大腸炎の3大症状である(国試的には、血便の記載が無い場合、ほぼCrohn病である)。

持続性、反復性の粘血、血便が最も特徴的な症状で程度はさまざま。血便は炎症の重症度、罹病範囲を反映する。また、腹痛は疝痛で、腹部全体または下腹に限局し、排便によって軽快することが多い。重症例では悪心・嘔吐、心窩部痛などがみられる。

合併症としては中毒性巨大結腸症が有名であり、潰瘍性大腸炎の最も重篤な合併症である。腸管の運動低下のために拡張をきたした状態である。注腸検査、大腸内視鏡検査、抗コリン薬の使用、電解質異常などが誘因とされている。

診断基準としては、以下のようなものがある。

次の(1)のほか,(2)のうち1項目,及び(3)を満たし,(4)の疾患が除外できれば,確診となる。
(1) 臨床症状
持続性又は反復性の粘血・血便,あるいはその既往がある。

(2)
① 内視鏡検査
(a) 粘膜はびまん性に侵され血管透見像は消失し,粗糙又は細顆粒状を呈する。
更に,もろくて易出血性(接触出血)を伴い,粘血膿性の分泌物が付着しているか,
(b) 多発性のびらん,潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。
② 注腸X 線検査
(a) 粗糙又は細顆粒状の粘膜表面のびまん性変化,
(b) 多発性のびらん,潰瘍あるいは偽ポリポーシスを認める。その他,ハウストラの消失(鉛管像)や腸管の狭小・短縮が認められる。

(3) 生検組織学的検査
主として粘膜固有層にびまん性炎症性細胞浸潤があり,同時に杯細胞の減少又は消失,びらん,陰窩膿瘍や腺の配列異常などが認められる。
(2),(3)の検査が不十分,あるいは施行できなくとも,切除手術又は剖検により,肉眼的及び組織学的に潰瘍性大腸炎に特徴的な所見を認める場合は,(4)の疾患が除外できれば,確診とする。

(4) 除外すべき疾患は,細菌性赤痢,アメーバ赤痢,日本住血吸虫症,大腸結核,キャンピロバクター腸炎などの感染性腸炎,放射線照射性大腸炎,虚血性大腸炎,薬剤性大腸炎,クローン病,腸型ベーチェット,リンパ濾胞増殖症などである。

注:
1 稀に血便に気づいていない場合や,血便に気づいてすぐに来院する(病悩期間が短い)場合もあるので注意を要する。
2 所見が軽度で診断が確実でないものは「疑診」として取り扱い,後日再燃時などに明確な所見が得られたときに潰瘍性大腸炎と「確診」する。

潰瘍性大腸炎の重症度判定としては、以下の6項目がある。

①1日6回以上の下痢
②顕血便(+++)
③37.5℃以上の発熱
④脈拍90/min以上
⑤Hb 10g/dl以下
⑥赤沈30mm/hr以上

治療としては、全身管理と薬物療法が主だったものである。全身管理としては、安静のうえ、脱水、電解質アンバランス、貧血、低蛋白血症、栄養障害の補正を行う。また、腸管の休養を保つ。

薬物療法としては、サラゾスルファピリジンと副腎皮質ステロイドを中心に行われてきた。最近はサラゾスルファピリジンの副作用軽減を目的とし、有効成分5-アミノサリチル酸(5-ASA)単独の製剤が開発され、広く用いられてきている。他にも、アザチオプリン(AZP)や 6-メルカプトプリン(6-MP)などの免疫抑制剤が用いられることもある。

内科的治療に反応しない全結腸型や再燃を繰り返す症例、癌を合併したものは外科手術の適応となる。

【関連記事】
消化管ポリポーシスの腸管外症状

急性腸間膜動脈閉塞症と虚血性腸炎


トップページへ  |  この記事へのリンク  |  消化器
Adminブログパーツ