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胸痛の鑑別について

2008.04.13 (Sun)
胸痛とは、胸部に感じる痛みの総称であり、胸部の皮膚から胸内臓器すべてを含む臓器、組織の障害に由来する感覚的な訴えを示す。

痛みの発生部位は、胸内としては心臓、大動脈、肺、胸膜、胸壁由来には肋骨、筋肉、胸部手術術後疼痛、神経系由来には肋間神経、頸神経根、胸神経根、脊髄がある。胸部外の原因としては、腸管ガス、胆道系、消化管、膵臓、肝、脾が挙げられる。

胸部には、心臓を始めとして生命に直結する臓器があるため、突然の胸痛の鑑別診断においては緊急性、重症度の高い病態を念頭におき、診断治療を進めていく必要がある。たとえば、急性冠症候群、急性大動脈解離、急性肺塞栓、緊張性気胸、特発性食道破裂などは緊急性が高く、見逃すことができない。

診察においては、血圧・脈拍・呼吸数・SpO2などバイタルサインをチェックし、全身状態の評価を行う。意識レベル低下、四肢冷感、冷汗、頻脈などショック症状を疑えば速やかに診断、治療を進める。緊急度が高いと判断すれば、12誘導心電図,胸部X線撮影をオーダーし,酸素投与を開始、心電図モニターを装着し、採血を行うとともに末梢静脈ルートを確保する。血圧の左右差、上下差(解離性大動脈瘤)、奇脈(心タンポナーデ)、不整脈の有無も重要である。

問診(患者、あるいは家族やそばにいた人たちから)においては、胸痛の部位、放散、性状、誘因や軽快要因、時間関係(持続時間、頻度、再発のパターン)、起きやすい状況、合併した症状などを詳しく調べることが重要である。反復性・慢性の場合、心臓から、大血管、肺、消化器、筋・神経・骨、胸壁、神経症に至るまで幅広い鑑別診断が必要となる。

まず、急性(数十分~数時間前)発症か、亜急性・持続性(数時間~数日前から)発症か、反復性・慢性のものかを把握する。これにより以後の診断過程の緩急が変わってくる。急性発症の場合、緊急の処置を要する疾患である旧性心筋梗塞、不安定狭心症、解離性大動脈瘤、心タンポナーデ、肺梗塞、緊張性気胸などを鑑別する必要がある。

亜急性発症の場合、虚血性心疾患や大血管の異常よりも、心膜炎や呼吸器系・消化器系・筋骨格系の疾患の可能性が増してくる。咳・発熱・呼吸困難などの症状があれば、肺炎・気管支炎、胸膜炎などを疑う。上腹部から前胸部にかけての痛みの場合、消化器急性疾患も鑑別に含まれる。視診触診で、胸壁腫瘍や帯状疱疹を鑑別することも重要である。

疼痛発生の部位も鑑別診断上、重要である。
前胸部中心部の痛みである場合、食道、心臓、気管、気管支、肺動脈、大動脈などの臓器が問題となる。急激な痛みの発症は、解離性大動脈瘤か食道破裂を示唆し、それほど急激でない場合は心筋梗塞や逆流性食道炎が考えられる。痛みが下顎や腕に放散するときは心筋虚血を考え、背部に放散するときには食道炎、食道けいれん、食道破裂、膵炎、あるいは,解離性大動脈瘤の可能性がある。

側胸部胸膜性の胸痛であれば、急激な発症では筋損傷、肋骨骨折、肺塞栓症、気胸などが考えられる。肋骨骨折や筋損傷では、胸郭を動かすことで痛みが増強し、逆に固定によって痛みがとれる。かぜ症状を前駆として胸痛とともに膿性の喀痰をみる場合、気管支・肺の炎症が考えられる。手術後や安静臥床後、胸痛とともに血痰をみるなどの場合には、肺塞栓症が考えられる。

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