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胸腔穿刺について

2009.06.08 (Mon)
■概念
胸壁から経皮的に胸腔内へ向かって、注射針穿刺やカテーテルの挿入を行い、貯留した胸水や血液、膿汁、乳糜などを排液することを指す。目的は排液のみならず、穿刺によって得た液体は、細菌検査や細胞診、組織学的検査、生化学的検査などに利用される。

■適応
・胸腔内貯留液の分析やその排除
・気胸に対する脱気
ただし、胸腔穿刺で脱気や排液が十分できない場合は、胸腔内にドレナージチューブやカテーテルを挿入・留置して、持続的に吸引を行う(胸腔ドレナージ)。

■禁忌
絶対的禁忌はないと考えられるが、抗凝固薬を服用している患者、出血傾向の患者、胸膜の癒着が予想される患者などでは、より慎重に手技を進める必要がある。

■準備
事前に、胸部X線写真で胸腔内の貯留液や気体の局在、胸膜の癒着状況などを把握しておく。必要に応じて超音波検査や胸部CTも追加する。ただし、緊張性気胸などでは緊急を要し、胸部X線写真すら行わずに、胸腔穿刺あるいは胸腔ドレナージを実施せざるをえないことがある。

■手技
1)消毒を行い、清潔操作を心がけて局所麻酔剤を充填した注射器で、皮膚、皮下組織、骨膜、胸膜の順に麻酔を行う。

2)針が胸腔内に入ると抵抗が消失し、さらに患者の呼吸を一時的に止めさせ、陰圧をかけながら刺入すると注射器内に気体ないし液体が流入してくる。穿刺目的が内容の確認やサンプリングだけなら、そのまま空の注射器に取り替えて吸引を行う。

その他の場合、脱気や排液が目的なら針を抜去して、改めて径の太い穿刺針(16~18Gのカニューレ型静脈内留置針など。18Gのサーフロ針などを用いても出来る)を刺入する。この場合、カテラン針が胸腔内に入った段階で、曲ペアン鉗子などでカテラン針を挟んでおき、穿刺針で行う際の皮膚から胸腔までの距離(深さ)の目安にすることもできる。

3)穿刺針はさきほどの刺入した針と同じ方向・深さで刺入する。

4)穿刺針の内筒の針先が胸腔内に達したら、外筒だけをさらに5 mm程度進める。

5)内筒を抜去し、外筒に三方活栓を付け、さらにシリンジなどを取り付け、それを操作することで脱気や排液を行う。この際、しっかりと外気が三方活栓を介して流入しないように注意する必要がある。

三方活栓を通して注射筒内に液体もしくは空気が得られる。チューブ針の場合は外套のみを胸腔内に進め針を抜き、チューブ針と三方活栓をつないで排液や脱気を行う。注射針もしくはチューブ針と三方活栓の間に延長チューブを入れて行うこともできる。

6)排気・排液後は針を抜去し、刺入部にガーゼを当てておく。
 
7)操作終了後、胸部X線撮影を行い、気胸,血胸が起こっていないのを確認する。

■合併症
1)カテーテル挿入時の肋間動静脈損傷による出血
2)肺や横隔膜の損傷
いずれも保存的に軽快することが多いが、程度によっては外科的処置が必要な場合もある。

3)肺が長期間虚脱した状態から急激に再膨張すると肺水腫が出現することがあるため(post expansive lung edema)、そのような場合は水封式でゆっくりと再膨張をはかる。

4)胸水の急激な排液はショックを起こす場合もあるため、大量の場合は時間をかけるか間欠的に排液させる(1回の排液は1L程度までにとどめる)。

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