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中心静脈カテーテルについて

2009.06.08 (Mon)
■概念
中心静脈カテーテル(central vein catheter)とは、中心静脈(右心房から約5cm以内の胸腔内の上・下大静脈の領域)に挿入するカテーテルのことである。

■目的
①末梢静脈から安全に投与できない高カロリー輸液の投与ルート
②末梢静脈から安全、確実に投与できないカテコラミン類などの薬剤の投与ルート
③中心静脈圧測定による循環血液量・心機能評価
④末梢静脈でのルート確保が困難な場合の点滴など

■穿刺部位
①内頸静脈、②鎖骨下静脈、③大腿静脈 が一般的である。

それぞれの特徴は、
①内頸静脈

・比較的安全でカテーテル挿入も容易であるため、第一選択である。
・皮下トンネルを用いれば,長期留置にも耐える。
・動脈穿刺の合併症などに注意が必要。
・肥満患者では穿刺部分が特定しにくい。


②鎖骨下静脈

・最大の利点は固定が容易で患者の負担が少ない。
・長期留置に最適。
・気胸や動脈穿刺が多い。
・鎖骨下動脈からの出血は解剖学的に圧迫止血が困難。
・凝固異常のある患者では避ける。


③大腿静脈

・穿刺が比較的容易と考えられるが、実際には動脈誤穿刺の可能性もある。
・ショックや心肝蘇生時などの緊急時にしばしば用いられる。
・清潔を保ち難い。
・アプローチが長く血栓形成を起こしやすい。
・長期留置には適さない。



■穿刺方法
内頸静脈
二筋の胸鎖乳突筋と鎖骨でできる三角形の頂点に位置する。内頸静脈は胸鎖乳突筋の下を走り、鎖骨下静脈と合流して腕頭静脈を形成する直前で、この三角形部分を通過する。このような解剖学的関係を把握できたら、
1)穿刺部位の周りを十分な範囲で消毒し、滅菌覆布をかける。

2)局所麻酔薬で皮下に浸潤麻酔を施し、患者をTrendelenburg体位にする。顔は穿刺部位とは逆向きに少し傾ける。顔を強く傾け過ぎると解剖学的な関係がずれてしまうので、下顎骨などが穿刺の妨げにならない程度とする。

3)穿刺針をもつ手と反対側の第1指と第2指を内頸動脈の拍動上に軽く置く。23Gの細い注射針を2.5または5 mLのシリンジにつけて試験穿刺をする。

4)乳様突起と胸骨切痕の中間(声門の高さくらい)が三角形の頂点より少し高い位置になる。ここから同側の乳頭方向、皮膚との角度は20~30度くらいで穿刺する。予想するよりも皮膚から浅い部分にあるので1~2 cmで静脈穿刺できる。失敗した時は少し内側から再度試験穿刺を試みる。

5)試験穿刺が成功したら、同じ場所、方向でカテーテル挿入用のカニューレを用い本穿刺を行う。

6)セルジンガー法にて、ガイドワイヤーを挿入後、ダイレーターで刺入部位を広げ、カテーテルを挿入する。成人の場合、カテーテルは右で 13~15 cm、左で 15~17cm で中心静脈に達する。

7)カテーテルをナイロン糸などで固定する。

鎖骨下静脈
鎖骨下静脈は、鎖骨中線の内側で鎖骨の下を通過する。ここは第一肋骨の外側縁でもある。鎖骨の直下にある。鎖骨下動脈とは前斜角筋によって分けられている。

1)穿刺部位の周りを十分な範囲で消毒し、滅菌覆布をかける。

2)局所麻酔薬で皮下に浸潤麻酔を施し、患者をTrendelenburg体位にする。タオルを丸めて肩甲骨間に挿入する(大きなものは必要ない)。

3)鎖骨中線で鎖骨から1~2 cm尾側から胸骨切痕の方向に向けて穿刺する。いったん、鎖骨に先端を当てた後、鎖骨の下面を滑らせるようなつもりで角度を変える。先端方向は胸骨切痕のままである。進める時に血液の逆流がなくても、抜いてくる時に逆流することがある。

4)鎖骨下を通り抜けても血液が逆流してこない時は、吸引しながらカニューレを抜いてくる。失敗した時には、最初の穿刺方向よりも若干頭側に穿刺角度を変えてみる。

5)試験穿刺が成功したら、同じ場所、方向でカテーテル挿入用のカニューレを用い本穿刺を行う。通常 5cm 前後で静脈に達する。

6)セルジンガー法にて、ガイドワイヤーを挿入後、ダイレーターで刺入部位を広げ、カテーテルを挿入する。成人の場合、カテーテルは右で13~15 cm、左で15~17 cmで中心静脈に達する。

7)カテーテルをナイロン糸などで固定する。

大腿静脈
1)鼠径靭帯の高さで動脈拍動を触れる。静脈はその内側に沿って走っている。

2)下肢を軽度外旋する。これは、骨盤腔内では左右の大腿動静脈は合流する方向に走るので、下肢を外旋することにより、大腿静脈の走行が直線に近くなり穿刺が容易となる。大腿動脈と静脈は近接して並行しているので、動脈を触れながら、その内側を穿刺する。

5)試験穿刺が成功したら、同じ場所、方向でカテーテル挿入用のカニューレを用い本穿刺を行う。通常 5cm 前後で静脈に達する。

6)セルジンガー法にて、ガイドワイヤーを挿入後、ダイレーターで刺入部位を広げ、カテーテルを挿入する。30~40 cm程度で中心静脈に達する(身長に応じ加減する)。

7)カテーテルをナイロン糸などで固定する。

■合併症
1)穿刺そのものに関連する合併症としては動脈穿刺、血腫形成が最も多い。

2)鎖骨下静脈穿刺では気胸にも注意が必要である。内頸静脈穿刺でも気胸となることはあるが、穿刺位置を間違わない限り(尾側に偏らない限り)気胸の危険性は高くない。

3)自発呼吸下でhypovolemiaの患者では中心静脈圧が低く、内頸静脈穿刺や鎖骨下静脈穿刺ではカテーテルから空気を吸入してしまう危険性があるので、カテーテルが開放になっていないように注意が必要となる。

4)急性期を過ぎると問題になるのが、カテーテル感染である。カテーテル感染の機序にはいくつかあるが、穿刺操作を清潔に行うことが大前提となる。

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