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血液型不適合妊娠

2009.11.05 (Thu)

血液型不適合妊娠の概念


血液型不適合妊娠とは、血液型の不一致を示す配偶者間の妊娠において、母体と胎児との血液型が異なるために胎児の溶血を引き起こす可能性のある妊娠を指す(母体にみられない赤血球型抗原が児に存在する妊娠)。

母体がすでに赤血球抗体をもっている場合や、微小な絨毛の破綻などにより胎児血球が母体血中に流入し、母体側で形成された抗体(抗原をもつ児赤血球が何らかの原因で、母体血中に入ると母体内に免疫抗体が産生される)が、胎盤を通過して胎児側に逆移行して発症する。その抗体が再び児に入ると抗原抗体反応を起こし、胎児・新生児溶血性疾患を発生する。

臨床的に問題となるのは、胎児・新生児溶血性疾患(hemolytic disease of the fetus and the newborn;HDN)の発症であり、ほとんどはRh式血液型(D、C、E、c、eなど)の英式表現でD因子(米式表現:Rho)の不適合による。

最初の感作は Rh+の胎児の妊娠や流産によって生じる。妊娠する毎に免疫化が重症化する。胎児あるいは新生児は脳関門を通過した間接ビリルビンにより致死的な障害を起こす(核黄疸、胎児性赤芽球症)こともある。

次のような機序でD因子陰性婦人が感作され妊娠すると、D因子不適合既感作妊娠になる。
1)D陽性不適合輸血:約半数が感作されていて児への影響も大きい。
2)分娩:分娩中や分娩後のD陽性胎児血との接触による。
3)経胎盤母体輸血:妊娠経過中にも胎児血は母体血中に漏れ出る可能性がある。
4)人工妊娠中絶、自然流早産:子宮内操作などでの胎児血との接触による。

その他に、ABO式血液型の不適合やその他の血液型亜型の不適合が考えられるが、ABO式血液型における抗A抗体や抗B抗体は規則性抗体(それら以外を不規則性抗体という)で正常でも存在し、臨床的にHDN(胎児・新生児溶血性疾患)発症の可能性があるのは母体がO型で児がAまたはB型の場合である。

Rh式血液型不適合妊娠とくにRh0(D)因子によるものが多く、ABO式血液型不適合によるものは発生頻度は多いとされるが、重症のものは少ない。

血液型不適合妊娠の診断


妊娠初期のスクリーニングでD因子陽性で不規則抗体がなければ、以後の検査は不要となる。不規則抗体があれば抗体の同定と抗体価の測定が必要となり、HDNの検索を要する。

D因子陰性であれば、既往妊娠歴や輸血歴を確認し、間接クームステストで抗Rh抗体の有無を検査する。同時に夫の血液型を検査し、Rh陰性であれば児も100%陰性なので以後の管理は必要ない。夫が陽性(DDまたはDd)の場合、遺伝子がDDの同型接合体であれば100%児はD陽性(Dd)となり、Ddの異型接合体であれば50%の児がD陽性となり、D因子不適合妊娠となる。

血液型不適合妊娠の治療


羊水のOD450値や、胎児血のヘモグロビン値を調べて治療の必要性を決定する。妊娠32週以降は子宮外治療が原則となる。

胎児への輸血は腹腔内か、臍帯静脈内(臍帯穿刺)に行う。子宮外治療が可能な時期まで輸血を繰り返し、出生後には溶血性貧血に対する治療(交換輸血、光線療法、免疫グロブリン療法)を行う場合もある。

交換輸血にて、交換量は循環血液量の2倍で、通常約160~180 ml/kg である。使用血液は、RhD 不適合で児とABO 型同型、Rh型陰性血液を使用する。胎内輸血または生後すぐに交換輸血が必要な場合、O型Rh型陰性の赤血球濃厚液または全血液を使用する(前もって母親との交差試験が必要)。ABO 型不適合の場合は、O 型赤血球とAB 型血漿の合成血または O型血液を使用する。


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