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肺原発悪性線維性組織球腫(肺原発MFH)

2010.08.25 (Wed)
最近読んだ論文についてまとめていきます。今回は「肺原発悪性線維性組織球腫(肺原発MFH)」について勉強しました。

肺悪性線維性組織球腫の1例
肺原発悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma, MFH)は稀な腫瘍である(MFHは軟部肉腫の中で最も頻度が高いが、肺原発症例の報告は少ない)。肺MFHは著者らが検索した限り本邦で54例が報告(2002年)されているに過ぎないが、最近は報告例が増えつつある。

MFHの発生部位は、四肢軟部組織が68%、後腹膜腔・腹腔が16%、胸部が7%であり、中でも肺に原発するものは極めて稀とされている。

55例の肺原発MFHで、術前診断にてMFHと確定診断が得られたものは気管支鏡下生検にて2例、経皮的針生検によるもの1例だった。壊死傾向を示す場合が多く、十分な量の検体を要する上、また稀な疾患であることもあり、細胞診や気管支鏡下での生検正診率は低い。免疫組織化学染色では組織球系マーカーであるα1-antitrypsin、α1-antichymotrypsn、lysozymeや間葉系マーカーであるvimentinが陽性の場合は鑑別に役立っている。

予後は転移や再発の頻度が高く不良である。遠隔転移は肝、脳、副腎などに多くみられる。治療法については、肺原発MFHの知見も少なく、軟部組織原発MFHの治療を参考にせざるを得ない。化学療法、放射線療法などが有効であったとの報告例もあるが、その効果については未だ一定の見解がなく、外科的切除以外は治療効果が期待できない。

肺部分切除のみで長期無再発生存中の肺原発悪性線維性組織球腫の1例
肺原発性MFHは予後不良で治療は外科的完全切除を原則とし、術式としては肺葉切除が妥当と報告されている。自験例は肺部分切除を施行し,術後追加治療を行わずに経過観察を行っているが、術後3年を経た現在においても再発徴候は認めていない。

血液検査上、MFHをスクリーニングする腫瘍マーカーとしてフェリチンの有用性が指摘されている。CEA、AFP、CA19-9、NSEやSCCなどの上皮系腫瘍マーカーが異常高値を示すことはほとんどない。

肺原発MFHは局所再発、遠隔転移いずれも高率にみられ、3年生存率は11%と予後不良である。治療は外科的完全切除を原則とするが、松島らは手術術式としては肺葉切除が妥当として考えられており、肺葉切除71%、肺全摘14.2%、肺部分切除14.2%となっている。一方、WeissらはMFHにおけるリンパ節転移は12%以下と比較的少なく、リンパ節郭清は臨床的に転移が疑われる場合のみに留め得るとしている。

再発時に肺動脈幹内への高度浸潤進展を示した肺原発悪性線維性組織球腫の1例
再発時に肺動脈幹内への高度浸潤進展を示した肺原発悪性線維性組織球腫(MFH)の1例を経験した。症例は70歳女性、1995年5月15日、左肺下葉の長径6.5cmの腫瘍に対して下葉切除術を行い、病理学的にstoriform-pleomorphic typeのMFHと診断された。術後経過良好であったが、98年6月、左肺門部での再発が明らかとなった。画像所見上、腫瘍が左肺動脈幹内へ浸潤進展している像を認めた。

肺癌が再発時を含めて、肺動脈内腔を中枢方向へ進展して肺動脈血栓類似の所見を呈することはほとんどなく、検索した範囲でも報告例を見出せなかった。

一方、肺原発の肉腫では、比較的太い血管より発生した場合、高度の血管内進展を来すことがあり、肺動脈原発の平滑筋肉腫や線維肉腫などで、肺動脈血栓類似の腫瘍進展所見を呈したとの報告がなされている。また、肺MFHについても既報告例を詳細に調べると、提示された原発巣や再発巣の画像所見などで、自検例のような肺動脈内腔への高度浸潤像や肺動脈血栓類似の進展像を認めるものがあり、まさに当該所見に注目した報告例もみられる。

肺原発悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma:MFH)の1手術例
免疫組織化学染色では組織球系マーカーであるα1-antitrypsin、α1-antichymotrypsn、lysozymeなどの陽性率が高く、一方、CEA、Keratinなどの上皮系マーカーは陰性を示す傾向にあるようである。

Das-Guptaらの軟部組織原発MFHに対する治療後効果をみると、手術単独群の5年生存率は43%であったのに対し、手術と化学療法(ADR+DTIC)併用群では87%の5年生存率が得られている。肺原発MFHの化学療法も軟部MFHのregimenに準ずるべきと考えられ、これらの報告は参考となるものである。その他、Weinerらは3例の骨原発MFHに対し、Vincristine、high-dose methotrexate(HDMTX)、citrovorum facter rescure(CFR)、adriamycinの併用療法を実施し、良好な結果を得ている。また、Urbanらは骨原発MFHに対し術前にHDMTXとCFRを併用し、術後の長期生存を得たと報告している。さらに、比較的最近の報告ではcisplatinの有効例もあり、MFHに対する化学療法の発展が示唆されるところである。

肺に原発したMalignant Fibrous Histiocytomaの1例
治療に対する反応性は悪く、予後不良のものが多く、現在の所病巣を含めた全摘が一番有効な方法と考えられている。さらに放射線療法についても、その有効性を疑問視する報告と、組織型によっては相対的に有効であるとする報告もある。本例では照射によっても、効果が見られず、この腫瘍の悪性像を如実に反映していたと考える。

肺原発悪性線維性組織球腫4剖検例の臨床病理学的検討
肺原発MFHは1979年にBedrossianらが初めて報告。年齢分布は18歳から82歳までであり、平均56.3歳であった。その発生頻度は肺悪性腫瘍の0.14%との報告もあり、四肢軟部組織発生のMFHに比べ肺に発生する頻度は極めて低い。

胃原発悪性線維性組織球腫の1例
MFHの病理組織学的診断基準として明確なものはない。Weiss、Enzingerらは「線維芽細胞様の紡錘型細胞と組織球様の円形細胞がstoriformpatternを呈し、多形性の腫瘍巨細胞と炎症性細胞が混在する像がMFHの特徴であるとし、そのstoriform patternは原発巣で高頻度にみられ転移巣ではまばらである」 と報告している。近年では、これらの組織所見に加えて免疫組織化学的な検討が診断に有用であるとの報告がみられ、角田は間葉系マーカーのvimentinおよび組織球系のマーカーであるα1-antitrypsin,macrophage CD68、lysozymeが85%以上で陽性であったと報告している。しかしながら、これら免疫組織学的な検討も報告例が少なく、MFHに特異的なマーカーは現在は報告されていない。


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