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肺原発リンパ上皮腫様癌(Pulmonary lymphoepithelioma-like carcinoma;LELC)

2012.12.13 (Thu)

定義


肺原発リンパ上皮腫様癌(Pulmonary lymphoepithelioma-like carcinoma;LELC)は,1987 年にはじめて Begin らにより報告され,現在では大細胞癌の特殊型に分類される稀な肺癌である.上咽頭癌で著明なリンパ球浸潤を伴う未分化癌をリンパ上皮腫と呼び,類似した組織形態を示す他の臓器での癌を「リンパ上皮腫様癌」と呼んでいる.

疫学


アジア,特に中国南部が好発地域とされ,Epstein-Barrvirus(EBV)との密接な関係が示されている.年齢は50 歳代前半に多く,比較的若年者に発生することが多い.喫煙の関与は低いとされている.本邦での頻度は全切除肺癌症例の 0.2%で,台湾では全肺癌の 0.9%とされている.

診断


画像所見での特徴は中枢型のものが約 90% で,境界明瞭な腫瘤を示すものが約 80%である.組織像は未分化型上咽頭癌に類似し,大型で低分化な悪性細胞が胞巣を形成し,著明なリンパ球浸潤を示す間質が特徴である.腫瘍内の壊死巣の比率が 5% 以下であれば予後が良いとの報告がある.

鑑別診断としては,悪性リンパ腫と鼻咽腔癌からの転移が挙げられる.免疫組織染色で cytokeratin などの上皮性マーカーが陽性になり,vimentin,KP-1 や leukocyte common antigens(LCA)が陰性となることで悪性リンパ腫との鑑別が可能であるが,鼻咽腔癌の転移巣とは既往歴以外に明確に鑑別ができる病理所見像はないとされる.

EBERの insituhybridizationによって腫瘍細胞のEBV感染を証明することが可能であることもある.東南アジア発症のLELCのほとんどがEBV陽性であるが,欧米人の LELCでは EBV陰性のことが多いとされている.

治療/予後


LELCは緩徐な発育を示すことが多く,LELCは非小細胞肺癌の中でも低悪性度と考えられている.比較的早期に発見される症例が多く,半数以上は切除可能なI/II期であり,遠隔転移を認める症例は15%程度とされる.5年生存率は手術症例も含めた全体で88%(I期:100%,II期:62.5%,III/IV期:60.6%)と報告されていて,他の非小細胞肺癌よりも予後は良好である.術後再発症例においても他臓器への転移は稀で,胸腔内再発が主とされている.

上咽頭癌に対するCBDCA+PTX併用化学療法の第II相試験では,59%の奏効率を得られたとの報告もあり,化学療法への感受性が高いことも特徴とされている.肺原発の LELCに対する化学療法においても,治療が奏効したとの報告もなされている.


【参考文献】
Epstein-Barr virus 感染を認めた Pulmonary lymphoepithelioma-like carcinoma の 1 例

肺原発リンパ上皮腫様癌の一切除例

肺原発リンパ上皮腫様癌の 1 例


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